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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2010.06.11

情報の特性と情報セキュリティ

「いい情報があるんだよ」と言われたとき、私たちは何だかどきどきします。少し秘密めいた、大きな声では言えないような、そんな気になります。1つ例を示しましょう。

Aさん:「駅前にいいマンションができたんだって」
Bさん:「私、マンションの購入を検討しているんだ。どんなマンション?」
Cさん:(私は去年マンションを購入したから、興味ないわ。。)
Dさん: たまたま同席したDさんはフランス人。日本語がわからないため、
    Aさんの言葉は音としては聞こえましたが、何の話だか理解ができませんでした。

さて、Aさんの発した言葉は、情報だといえるのでしょうか?

・少なくともBさんには貴重な情報だったはずです。
・しかしCさんにとっては、さほど貴重な情報ではなかったでしょう。
・さらにDさんに至っては、言葉の意味すら解釈できず、無作為文字列の音データを
 受け取ったに過ぎません。

同じ言葉を聞いたにも関わらず、聞いた人によって異なるインパクトを与える結果になったのです。

一般にデータと情報という2つの言葉は、次のように使い分けられます。

Aさんが発したのはデータです。データが情報になるかどうかは、受け手で決まります。Bさんにとっては、Aさんが発したデータは貴重な情報でした。Cさんにとってはさほど貴重ではない情報でした。Dさんには処理不能なためデータのままでした。

この例でわかるように、情報の価値は受け手によって変化します。

このことを受け手はしっかり意識していなければなりません。Aさんの発した言葉に仮に誤りがあったとした場合、Bさんは怒るかも知れませんが、Cさんはさほどでもなく、Dさんにはほぼ関係ないことになるでしょう。

発信者にとっては同じデータの価値が、受け手によってこんなに違ってしまうのです。これが情報の特性です。

前回のコラム前編では、いささか唐突な例を示しましたが、情報の特性を踏まえると、情報セキュリティで注意しなければならないことが次のように理解できます。

個人情報の漏えいの例では、個人情報を管理している人が個人情報のデータを軽んじているために起こるケースが少なくありません。個人情報が漏えいしてしまった結果、被害に遭う方々にとっては、そのデータは極めて重要なものであり、厳重に管理してほしいと思うことでしょう。しかしデータを管理している人にとっては、被害に遭うことになる方々のことを十分にイメージできておらず、その結果、当該のデータをあまり厳重に管理していなかったということになります。

情報セキュリティの重要性について考えるとき、私たちには、立場が替わった相手にとって、そのデータがどんな情報になるのかをイメージする想像力が必要なのです。そのためには、情報セキュリティの啓発として、情報を守る仕組みのことだけでなく、被害事例や被害に遭う側の方々の気持ちについて、いくつもの例示をすることが不可欠でしょう。学校情報セキュリティお役立ちWeb「今日もワンステップ!」の価値はここにあります。

堀田龍也

玉川大学大学院 教授、文部科学省 参与、
日本教育工学協会(JAET) 副会長、日本教育工学会(JSET) 理事。
教育工学、情報教育を専門とし、ICT活用による授業技術の実践研究や、
情報活用能力育成の学習指導、校務の情報化などの研究を行っている。

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