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2013.04.25

高等学校の教員を対象に情報セキュリティに関する講演・ワークショップを実施(城西大学附属城西中学・高等学校)

3月13日、ISENが城西大学附属城西中学・高等学校(東京都豊島区)に
訪問し、教員研修を実施しました。
前半はISEN副委員長大溝による講演、後半は参加型のワークショップ
を実施。約60名の先生方を対象に、合計2時間の研修を行いました。
前半の講演では、「1.校務と情報セキュリティ」「2.機器の対策」
「3.情報モラル」の3つのテーマについてお話ししました。
「1.校務と情報セキュリティ」「2.機器の対策」については、
事故の防止方法や考えるべきことを紹介。
「USBメモリを持ち運ぶときは、肌身離さず持ち運ぶ」
「メールの添付ファイルで重要なファイルを送信するときはパスワードを
設定する」など、一人ひとりがすぐにできる、実践的な内容をお伝えしました。
「3.情報モラル」の内容で、最近の特徴的な動向として取り上げたのが、
子どもたちの間で流行しているLINEなどの無料通話アプリの実態です。
学校裏サイトなどと違い、友達同士でグループを作り、チャット機能を
使って会話をするため、どのようなやりとりをしているのか大人からは
見えないという特徴があります。
気に入らない友達はグループから外し、仲間はずれにするといういじめも
起こっています。
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▲大溝の講演。最近注目が高いSNSサイトの実態について説明しました。
また、新しい「出会い系」のツールとしても無料通話アプリが使われています。
インターネット上には、LINEなどの無料通話アプリのIDと名前、コメントなどを掲載して
出会いを求める掲示板がいくつも存在します。
無料通話アプリのIDは、携帯電話の番号よりも匿名性が高いように感じられるためか、
気軽にIDを教えている様子が見られます。
ISENが調査のため、あるアプリに登録し、女子高生を名乗って掲示板に投稿したところ、
高校生から50代の男性まで、数日間で約170名もの男性から連絡がありました。
「無料通話アプリについてはよくわからない」という先生もいらっしゃいましたが、
今後、子どもたちを守るためには知識を身に付け、注意喚起していく必要があります。
後半のワークショップは、ISENが開発に協力した、株式会社JMCの
「リスク脳トレーニング」を利用して実施しました。
学校の日常にありそうな場面のイラストを見て、「情報セキュリティの問題点は何か」
「どのような対策ができているか」参加者同士が協力しながら考えるという内容です。
グループに分かれて意見を話し合い、他のグループと発表し合うことで、
自分一人で考えた時よりも、数倍多くの問題点や対策に気付くことができました。
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▲ワークショップ風景。ワークシートにグループのメンバーの意見を記入すると、
自分だけでは気付けなかった多くのことに気付くことができます。
ワークショップの正解は、講師が説明するものではありません。
参加者の発表に対して、他の参加者と意見交換をし、納得したものが「正解」になります。
今回は、ワークショップの進行役を担当したISEN事務局員の想定よりも
倍以上の数の正解が生まれました。
細かい部分や、誰も予想しなかったリスクに気付いたグループの発言には、
どよめきや拍手、時には笑いが起き、会場が一体となって盛り上がりました。
「机の上に、今すぐには必要のなさそうなものが置いてある」
という意見には、進行役から「それでは実際に、必要なものだけを都度
机の上に出し、それ以外のものは必ず片付けるということはできますか?」
という問いかけをしました。
「情報を守る」ということだけに注目して対策方法を考えると、
仕事を行う上では不便になってしまうこともあります。
利便性との両立を考えた対策を行うには、多くの先生が自らアイディアを出し合いながら、
納得できる、無理なくできる方法を考える必要があります。
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▲左側の書類や右側のパソコン。今すぐに使わないからと、片付けられますか?
今回の研修では、学校の先生方全員が一体となって、情報セキュリティ
について考えることができました。
しかし、研修でお伝えできたことはほんの一部です。情報セキュリティ対策を効果的に
行うためには、自分で気付いたことを共有し、先生同士で相談し合うことが大切です。
ワークショップで「問題点をみつけて共有する」ということを体験し、
実感できたのではないでしょうか。
今回の研修をきっかけとして、日常的に、何か問題が発生したときに先生同士で
相談し合い、解決策を考えられるよう、協力し合っていただきたいと感じます。
※2013年3月時点の内容となります。

ISEN事務局

ISENは、研究者・企業の専門家などで構成された団体。学校の教職員の方の情報セキュリティへの意識啓発のため、 Webサイト、メールマガジンでの情報発信、調査・研究活動などを行っている。

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