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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2013.12.03

インターネットが見えなくなっている

この夏、コンビニや飲食店の従業員がSNSに自分の問題行動を書き込み、
炎上する事件が相次いだ。店舗の衛生管理責任を問われ、問題行動を起こした
従業員の解雇だけでは済まず、店舗がフランチャイズ契約を切られたり、
営業を自粛したりという大事になった。損害賠償請求がなされているが、
おそらく相当な金額になると思われる。

しかし、なぜ彼らはこのような行動をとったのであろうか。
ちょっと考えれば、大きな問題になることが予想されそうなものである。
「何、バカなことをしているんだ」と切り捨てるのは簡単だが、
彼らの行動の裏には、大きな錯誤があると考えてみる必要があるのではないだろうか。
デジタルネイティブである彼らだが、インターネットへの意識の低さを
抱えていて、それがこの事件を導いているのではないかと私は思う。

今回の事件においても、SNSの利用がカギとなっている。
彼らには、インターネットの存在が見えていないのではないか。
自分が生まれた時から、インフラとしてインターネットがあり、
友達とのコミュニケーションは、メールやSNSが当たり前なのである。
だからこそ、彼らには仲間内で面白いことを見せ合うだけの意識しか
なかったのだと思われる。
事件の後で「どうして、みんなこんなに大騒ぎをしているんだろう」と
当事者である彼らは思ったかもしれない。

インターネットやSNSの概念などが、小・中学校の授業で取り上げられることは、
まずないだろう。あるとすれば、メールや掲示板の弊害が語られるだけでは
ないだろうか。きちんと情報教育がなされていなかったことが、
問題の底辺にあると私は思う。子供だけの問題ではない。官公庁が、クラウド上の
グループ作業サービスを利用して文書が情報漏えいしてしまった事件も、
インターネットが意識から見えなくなったことが原因である。
情報教育こそ、この時代を生きるための基礎教育だと思う。
自らを含めて「あだおろそかにすることなかれ」である。

石野先生

上越教育大学学校教育学系教授、教職大学院教授(兼務)
1954年上越市生まれ。明治大学文学部日本文学専攻卒。上越教育大学大学院修。
新潟県内小学校教諭、県立教育センター指導主事、教頭、校長、上越市教育委員会勤務を経て2008年より現職。

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