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2015.03.05

TPPと著作権(1)

TPPという文字がマスコミを賑わせています。
TPPは環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic
Partnership Agreement または単に Trans-Pacific Partnership)の略称です。

経済連携協定ですので、このコラムに関係ないと思われるかもしれませんが、
TPPには21の交渉分野があり、その一つに著作権があります。

争点の一つは、著作権の保護期間の延長です。

著作権に関する国際規約であるベルヌ条約では、
保護期間を「著作者の生存期間+死後50年以上」と定めています。
日本などの約90カ国は死後50年を採用し、米国やEU諸国などは
死後70年としています。ちなみにTPP参加国ではほぼ互角の国数です。

著作権者(著作者の死後は遺族・管理団体)の利益を考えれば、
単純に保護期間を延ばせば良いということになります。
しかし、保護期間が延びることで相続が複雑になるなどの問題が考えられます。
これにより、コンテンツの再利用に関する権利処理などの
負担が増えてしまい、二次利用が進まなくなる可能性があります。

日本はアニメ大国ですので、著作権に関する分野では大幅な黒字が見込まれると
思われるかもしれませんが、残念ながら貿易赤字となっています。
実際に2012年度では5,800億円の赤字です。対米国では3,300億円ほどの
赤字になり、大半が Windows などのソフトウェアが占めています。

ISEN副委員長 井上

株式会社JMC
APPLIC(一般財団法人全国地域情報化推進協会) テクニカルアドバイザー。
校務情報化や情報モラルに精通し、文部科学省や総務省の委員会や委託事業にも参画している。

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