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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2016.02.26

子供たちに必要な能力を育むために(2)

◯ 人の能力の育成を

インターネットやスマホ、PCなどの情報端末のように汎用性の高い技術や道具は、
誰にでも使えるようになっています。裏を返せば特定の人たちに
合わせているわけではいないということです。

つまり、大人も子供も同じ技術や道具を使用しているような場合、
必ずしも使用する人間の発達段階に合わせた利用方法やハードウェア、
ソフトウェアの設計がなされているわけではないということです。

ですから、使う人や使い方によっては意図しないトラブルが発生したり、
人の能力の伸張を妨げる一因となったりということが起こりえます。

新しい技術や道具を使用する時には、それらを正しく使うための知識や
スキルを身に付けることはもちろん大切です。

それ以上に、使う人が問題に直面したときにそれを解決するために
必要な能力を育成することが重要です。
また、そのような能力を伸ばす、あるいは引き出すような
使用方法を工夫することも必要です。

◯ 育成すべき問題解決能力とは

社会的に問題解決能力が必要であると言われています。
問題解決では、情報をいかに活用するかが重要になります。
インターネットなどから得られる多種多様で膨大な情報の中から
必要な情報を選択する段階では、自分の中で問題を
どの視点でどのように捉えるかによって、必要な情報が変わってきます。

つまり、情報選択のために何らかの評価の規準を定めることになります。
その評価規準に従って情報をふるいに掛けていくことになります。
ここには自己決定や選択する能力が必要になります。
また、社会で起こる多くの問題について一人の力だけで解決できるものは
ほとんどありません。そのため、問題を共有する多くの仲間と共に
解決策を見い出し、力を合わせて問題解決に取り組むことになります。

このときに必要になるのが、多くの人と協働できる能力です。
実際は、解決に向けて達成目標を適切に定め、実施するための
プランやプロセスを考えて行動するためにコミュニケーション力や
適切な目標設定をする力、批判的思考力や行程管理能力が必要になります。

◯ 実践することで育まれる能力

これらの能力を育むためにどうしたらよいでしょうか。
それは、実際に生活で起こるさまざまな問題に対して、
能力を発揮するよい機会だと捉え、実践し、経験を重ねることです。

学校などで学習したことは、学習した場面だけで発揮されるものではなく、
家庭や地域などの子供たちが生活する中で機会を見つけ、
広く生かしていくものです。
このことを、子供たちが自覚し、自ら実践し続けることで
能力が徐々に育まれていきます。

◯ 実践し続けるために必要な能力

もう一つ、育みたい能力があります。
それは、失敗しても挫けずに立ち上がる力(レジリエンス)です。
今の子供たちにもこれが不足しているように思えます。
学校は、子供たちにとって、安心して失敗できるところであり、
失敗が成功に変わる経験を蓄積するところです。

「失敗は成功の母」という言葉があるように失敗から学ぶことが重要です。
何が失敗なのか(何が成功なのか)、なぜ失敗したのか、
異なる見方で捉え直したらどうなるか(リフレーミング)、
どこを改善すれば良いのかなど失敗したからこそ学べる点もあり、
失敗からは多くのことを学べます。

失敗したら諦めるのではなく、時間を掛けて苦労して問題に
立ち向かった経験はほかの問題に直面した時の問題解決への自信に繋がり、
自尊感情や自己肯定感を育みます。誰でも失敗はしたくないものですが、
今の子供たちを見ていると極端に失敗を怖がり、問題に取り組むことさえ
避ける傾向が見えます。

問題に取り組む前にすぐに答えを知りたがったり、
自分の能力内で無難な行動、ミスをしないようなことだけやったり、
結果・成績・優劣のみ重視するような傾向が見えます。
これらの傾向を克服し、レジリエンスを付けるためにも、
子供たちに失敗を成功に変えていく経験が必要になるのです。

上市 善章

船橋市立芝山中学校 校長

千葉県教育庁教育振興部指導課 指導主事、
千葉県総合教育センター 研究指導主事、
千葉県教育庁教育振興部指導課 主席指導主事として情報教育に携わる。
今年度より現職。

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