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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2016.10.28

校務の情報化と校長のマネジメント力(2)

校務の情報化を進めることによって、「業務の効率化による教職員の負担軽減」や
「学校経営の改善による教育の質の向上」が期待されています。

実際に、統合型校務支援システム(以降、システム)を導入した学校では、
「子供と向き合う時間が増えた」と、具体的な数値で報告されています。

通知表の作成をはじめ、任意名簿や各種帳票類の作成、
印刷といった事務作業は、システム導入以前と比べると、
確かに所要時間の短縮を実感できる業務だと思います。

しかしながら、自治体の中には、同時に同じシステムが導入された学校間で、
活用状況に格差が生じているという話を耳にします。
では、より活用していくためには、
どのようなことに留意すればよいでしょうか?

校務の範囲や学校規模、地域事情等に違いがあることは当然ですが、
活用が進まない理由の一つに、業務フローの見直しが不十分
であることが考えられます。
学校では校務分掌などにもとづいて、さまざまな業務の一部改定は
あっても、これまで通りのやり方を踏襲していることがよくあります。

「システムをどのように活用すれば、どのような業務の何が
改善されるのか?」「重複している業務はないか?」など、
これは学校に限ることではありませんが、既存のルールに縛られず、
組織全体がより機能するために、ICTを活用して業務フローを可視化
することで、大胆な見直しをしてほしいと思います。

校長のリーダーシップやマネジメント力が、
業務の効率化においても重要な鍵であることに変わりはないと思います。

もう一つの留意点は、システムの活用を「学校経営の改善」という
視点で捉えることです。本来、教員(特に学級担任)は、
目の前にいる子供一人ひとりの様子が、日常と異なることに気付くと、
子供と向き合い、その思いや背景を深く理解し、適切に対処しようと
努力します。この営みは、昔も今も、教員の基本的資質によるものでは
ないかと思います。

校務の情報化によって業務の効率化が図れ、新たな時間が教員の
指導力向上につながり、子供と向き合うことに費やすことができれば、
教員にとって、何より子供にとって望ましいことに違いありません。

しかし、これまでのように担任だけや学校という枠の中だけで、
この新たな時間を有効活用できるかどうかは疑問です。

それは、学校が直面している課題がすでに複雑で多様化し、
解決していくには、より専門的な知見、地域・外部機関などの
教育資源の活用を図り、教員が安心して業務に専念できる
「チームとしての学校」の在り方にかかっています。

システムの活用は、学校を変革していく大きな可能性を秘めています。
校長には、実態を踏まえ、「チームとしての学校」の経営力を高め、
学校経営の改善を図るためのツールとしても、
積極的にシステムの活用をされることを期待しています。

新田先生

京都市教育委員会 学校指導課

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