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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.07.14

◆連載コラム第1回◆児童・生徒がICTを活用する授業実践のための環境作りとしての情報モラル教育

 近年、タブレットPCを導入する学校が増加しており、それを有効活用した
実践が報告されるようになった(長谷川元洋・松阪市立三雲中学校 2016)。
現在は、まだタブレットPCが導入されていない学校にも、近い将来、
整備されるであろう。また、グループで利用することを想定した台数の
整備から始まり、近い将来、一人1台の環境に移行していくと予想できる。

 ICTを活用すると、グループや学級、学年、校内、校外で情報の共有、
発信が容易になり、協働的な学習活動を行いやすくなると期待できることから、
すべての学校にタブレットPC等の整備が行き届く日が待ち遠しいが、
有効活用するためには、情報モラル教育をしっかりと行っておくことが
重要であると考えている。

 なぜなら、タブレットPCを全員の児童・生徒が持つ状態では、
すべてのタブレットPCの利用状況を教師が完全に把握することは困難であり、
教師が管理をしなくても、児童・生徒が適切なICT活用をできる状態に
なっている必要があるからである。また、これまでは学校の管理外で
起きていた問題が学校の管理下で起きることになるからである。

 例えば、児童・生徒にタブレットPCを持たせて、校内や校外で調査活動を
行わせる場合や、業間にタブレットPCを持って特別教室に移動する場合等は、
教師の目が行き届かない状況が生まれる。そのような状況下でトラブルが
頻発すれば、児童・生徒が文具の一つとしてタブレットPCを活用するような
学習活動を行うことは困難であろう。実習や実験の授業で安全が確保される
ことが授業成立のための重要事項となることと同じである。

 そのため、学校全体で計画的に情報モラル教育の指導を行い、児童・生徒が
適切に情報機器を活用できる状況を作ることが、児童・生徒が積極的に
情報機器を利用するための条件整備の一つになる。

 なお、本連載では、学習指導要領に書かれている「情報社会で適正な活動を
行うための基になる考え方と態度」を「情報モラル」の定義とする。
安全な利用や危険回避の方法だけでなく、適切な利用の仕方を指導することが
必要である。

 次回以降、学校全体で情報モラル教育を行うための体制作りや具体的な
研修方法等を紹介していく予定である。

参考文献
長谷川元洋 監修・著/松阪市立三雲中学校 編著(2016)
「無理なくできる 学校のICT活用」
タブレット・電子黒板・デジタル教科書などを使ったアクティブ・ラーニング
学事出版、ISBN 978-4-7619-2190-3

長谷川先生

金城学院大学 国際情報学部国際情報学科
メディアスタディーズコース 教授

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