ISENのつぶやき

TOP > 学校ICT・セキュリティコラム > ◆連載コラム第3回◆情報モラル教育に関するカリキュラム・マネジメント

研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.08.10

◆連載コラム第3回◆情報モラル教育に関するカリキュラム・マネジメント

 平成29年(2017年)3月に告示された小学校、中学校の学習指導要領の
4頁で、各学校においては以下のように「カリキュラム・マネジメント」に
努めるものとするとされた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,
教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な
視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を
図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を
確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,
教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を
図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に
努めるものとする。
(小学校学習指導要領では,「児童」と表記)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 この中からポイントとして、「実態を適切に把握」、「教育の目的や
目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立て」、
「教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていく」、
「教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともに
その改善を図っていく」、「教育課程に基づき組織的かつ計画的に
各学校の教育活動の質の向上を図っていく」があげられる。
 前回、紹介した三層構造アプローチは「実態を適切に把握」、
「教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともに
その改善を図っていく」、「教育課程に基づき組織的かつ計画的に
各学校の教育活動の質の向上を図っていく」に関連するが、
「教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な
視点で組み立て」は、含まれていない。そこで、今回は、教科横断的な
視点で、情報モラルの指導内容を組み立てる方法について紹介する。

 図1*は教員研修センターで行ったカリキュラム策定ワークショップの
様子、図2*、図3*はそのワークショップによって作成された
カリキュラム表である。校内研修や教育センター等で行う場合は、
全学年、全教科の教科書を用意または参加者持参して、教科書を見ながら、
このワークショップを行うと良い。(*図1~3は文末のURLを参照)

 以下にこのワークショップの特徴等を示す。

(特徴)
・学年、教科の枠を超えた全員参加型研修
・日常の教育活動の中で無理なくできる情報モラル教育の
 指導カリキュラムを策定可能

(準備物)
・模造紙、ペン、付箋(青、ピンク、黄、緑)のセット(グループ数分)
・可能ならば、全学年、全教科の教科書

(研修の進め方)
 研修は次の順に行う。研修講師は進行係を行う。
校内研修の場合は研修講師も、グループワークに参加する。
最後の発表の場面でコメントや補足解説を行う。
・模造紙に枠を書く。枠には、4月から3月までの列に加え、
 保護者向けの情報提供に関する列と1年生から最終学年までの行を設定する。
・講師は情報教育の資質能力(表1*参照)について説明し、
 3つの資質・能力ごとに、付箋の色を指定することついて説明する。
・全員参加型でカリキュラム表を作成する。
・グループ毎に発表し、意見交換をする。
・講師がまとめの話をする。
 (*表1は文末のURLを参照)

<ワークショップ終了後>
・教務担当、情報教育担当が中心となって、ワークショップで作成された
 カリキュラム表を元に、学校として情報モラルカリキュラム案を作成し、
 職員会議や校内研修会に提出して、教職員全員で議論し、
 次年度のカリキュラムを策定する。

 次年度に、策定したカリキュラムに基づいて、実践を行い、
可能ならば夏休みの研修会で、予定通り実施できているか、
実施するための問題点は無いか等を確認すると良い。
PDCAサイクルを1年単位で回すことが一般的であるが、
初めて取り組む場合は、予期せぬトラブル等が発生することが多いため、
半年または学期ごとにPDCAサイクルを回すと良い。

表1.情報活用能力を構成する資質・能力(文部科学省 2016)
http://www.school-security.jp/ml/186/hyou1.png

図1.カリキュラム策定ワークショップの様子(独立行政法人教員研修センターにて)
http://www.school-security.jp/ml/186/zu1.jpg

図2.策定されたカリキュラム(小学校グループ)
http://www.school-security.jp/ml/186/zu2.jpg

図3.策定されたカリキュラム(中学校・高校グループ)
http://www.school-security.jp/ml/186/zu3.jpg

文部科学省(2016) 次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ
別紙3-1情報活用能力を構成する資質・能力,
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/
__icsFiles/afieldfile/2016/09/09/1377021_2_1.pdf

長谷川先生

金城学院大学 国際情報学部国際情報学科
メディアスタディーズコース 教授

一覧へ戻る


PAGE TOP