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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2018.12.27

学校での新規のプロジェクトを進めるために

例えば、学校で「プログラミング教育」について検討していきたいと考えています。
ところが、教員はなんでも相談&対応係のようなもので、
日々発生する案件に対応していかなければならないのです。
そうすると、普段の授業に加えていくのか、どうやればいいのか、
何のためにするのかと考えていかなければならないと思っていますが、
その考えは次に起きた案件解決に向かうがために忘れられるか、
後回しにされてしまいます。
よほど強く思わないと、行動に向かう事ができません。
課題を解決出来る素敵な教員もたくさんいますが、
そういう人には仕事が集中してしまっているのです。

そこで、情報化リーダーや研修担当が管理職と相談し計画的に進めることが肝です。

まず、提案の仕方、職員会議の項目に載せてもらうことが大事で、
来年度の事を決めるのは12月から1月にかけての時期が勝負です。
次に、次年度の年間計画に進めたい内容の研修を組み入れることです。
あまり数多くのコマを入れずに、学期に1回入れるか、
放課後ミニ研修会の開催に振り分けてもいいでしょう。
大事なのは、この時期に提案を忘れていると次の年には実行されない、
すなわち2年遅れになってしまうということです。

あと大切なのは、カリキュラム・マネジメントの考え方を生かして、
学校の学びの構造化を進めていくことです。
すでにある年間計画カリキュラムへ新たに加えるのではなく、
すでにある教育目標と組み合わせてカリキュラムの計画を作っていくことと、
そのための研修を企画実行することです。

では、そのポイントを三つ述べましょう。
ポイントの一つ目は、核となる学校のカリキュラムの教科・領域の
学びをつなぐ視点を持って考えることです。
子供たちの何を伸ばすのかを考えていくことで、
「プログラミング教育」で培われる力がカリキュラムの中で他の教科と
どう組み合わせていけるかを考える事です。
まずはアバウトに、国語科のこの単元で培う力と一緒だからとか、
理科ではこの単元と組み合わせるとかです。子供の反応を見て悪ければ、
次からやめる、まずは組み合わせて、いい組み合わせを作り出せばいいのです。

二つ目は、教育のねらいから考えていくことです。
ねらいを考える時に大事なのは、時代の変化により求められる人間像も
変化していることを考慮することです。
これから10年後の大人である子供たちに必要とされることを考慮して、
教育のねらいを作っていくことです。

三つ目は、学校教育の情報化に関して、
機器を取り入れるとこんなことができるということを
授業の組み立て側から提案することです。
次回の議事録に提案を含めて職員会議議題に入れます。
先に述べた学校の文化を理解して、
上手にプロジェクトや研修を組み入れていくことが大事です。

学習指導要領や年間計画、決められたことに、
教員は真正面に捉えてしまいがちで、優先順位の見直しが
できなくなっている場合が多いのです。
まずは、子供と共に学校組織として成長していくため、
研修研鑽やプロジェクトを進めていけるよう学校の内外からサポートし、
協働的に活動することも大切だと考えています。

中村先生

略歴
昭和33年3月18日生まれ 最終学齢 鳴門教育大学大学院 教育方法学
昭和57年4月  公立学校教員に採用後、三重県教育委員会事務局勤務、
        三重大学教育学部附属小学校教頭、大紀町立錦小学校校長、
        南伊勢町立南島東小学校長を経て    
平成30年3月  三重県度会郡南伊勢町立南勢小学校長を経て定年退職
平成30年4月  一般社団法人未来の大人応援プロジェクト事業部長就任、
        奈良教育大学特任講師
資格等:普通自動車免許、小学校教員専修免許、中学校教員専修免許、
    高等学校学校教員専修免許、教育情報化コーディネータ、
    文部科学大臣委託ICT活用教育アドアバイザー、ICTマイスター
専門:教育一般、ICT教育関連、
   文部科学省生涯教育課よりICT活用教育アドバイザー、防災教育

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