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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2021.05.21

子どもが安心、安全にGIGA端末を使うための取り組み

GIGAスクール構想の推進によって、
全国のほとんどの自治体で児童・生徒一人1台の
コンピューターが整備され、この4月から、
子どもたちにコンピューターを渡し、
さまざまな学習活動への活用を始めた
学校や自治体が多いと思います。
一方で、子どもたちがそのコンピューターを使って、
授業中にゲームをしたり、チャットをしたりしたらどうしよう、
危険なサイトにアクセスしてトラブルに巻き込まれたらどうしよう、
など、安全、安心な使い方ができるのか心配で、
なかなかコンピューターを使わせられない、
といった声を聞くことがあります。
そこで本稿では、子どもが安心、安全に
端末を使うようになるための取り組みについて、
相模原市の学校の様子から提案いたします。

本市では、昨年度の2月に106校全てに Chromebook と
ネットワーク回線の整備が完了し、
さまざまな学校が活用を始めました。
例えば、総合的な学習の時間で、
子どもたちが自分たちで設定した探究的な課題について、
アンケートなどで調査し分析をしたいと考え、
Google フォーム でそのアンケートを作成し、
地域の大人にURLを配付したそうです。
また、理科室での実験に自発的に Chromebook を持参し、
実験の様子を録画して Google Workspace の共有ドライブに格納し、
皆で映像を何度も見返しながら、
考察、レポートの作成を行ったそうです。
そして、授業でグループごとに考え整理した意見について、
Chromebook でそのプレゼンを撮影し、
映像ファイルと JamBoard の資料を
Classroom の共有ドライブに入れ、
各々の子どもが資料を閲覧して
意見を共有するなどがあったそうです。

これらの学校は、すでに子どもが自分の自由なタイミングで
端末を使えるような状況にあります。
朝、学校に来たら、充電保管庫から端末を取り出し、
好きな時に好きなように使う、ということです。
しかし、このような取り組みを
最初から皆ができたわけではないとのことです。
最初の1か月は、休み時間になると、
子どもたちがみんな、自分の好きな YouTube を見たり
ゲームを始めたりしたまま自席に座りっぱなしになったり、
Classroom のストリームで悪口の言い合いが始まる、
などがあったそうです。

これは、PISA2018の調査結果にもあったように、
子どもたちがコンピューターの使い道として
ゲームやチャット以外のことを知らないため
起きると考えられます。
ですから、コンピューターを使うと
学習などのさまざまな問題解決が進む体験を
学校生活の中で繰り返し、
生徒指導に関わる問題が起きたら
その都度ルールを話し合うなどの指導をすることで、
次第にゲームやチャット以外の使い方を
休み時間にするようになり、
皆が席に座ったままなどということはなくなったそうです。
既に端末の持ち帰りをしている学校では、
授業で出された課題の続きをしたいと思った子どもが
自主的に端末を持ち帰るようになり、
主体的に学びを深めようとする子どもが増えた、と話をしていました。

GIGAスクール下で、子どもに安心、安全に
有用にGIGA端末を使うようになるためには、
どうやら、まずコンピューターを児童・生徒に渡し、
使いながら起きる問題を解決したり、
一緒にルールを考えたりする取り組みが近道のようです。

渡邊先生

相模原市教育委員会指導主事。
相模原市立中学校教諭として勤務後、
平成26年4月より現相模原市教育センターに指導主事として着任。
相模原市の教育の情報化に努める。
文部科学省「教育の情報化に関する手引き」執筆協力者、
ICT活用アドバイザー等。

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