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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2022.08.19

ICTを活用したこれからの英語教育

今年で英語教育に携わって30年目を迎えます。
この10年は、特にICTを活用した英語教授法を実践的に研究しています。
今回、私が思う「ICTを活用したこれからの英語教育」を
読者の皆さまに紹介させていただきます。
本論に入る前に、個人的な経験から感じている、
学習者が英語を学ぶ上で気をつけなければならない重要なポイントを
まず共有させてください。
①何のために英語を学ぶのか、いつまでにどのレベルにまでに到達したいのかを明確にすること
②英語と日本語の違いを知ること(母語干渉をなくすること、英語らしさを感じること)
③自分にとって適切な教材で、適切な手段を活用した有機的な学習方法で学ぶこと
④人は忘れるということを記憶にとどめていくこと(忘却曲線、反復練習)
⑤人は苦手意識があるものに対し、
集中力は長く続かないことを記憶にとどめていくこと(隙間時間の有効活用)
⑥楽しさを感じられること(education + entertainment = edutainment )
⑦つらさや楽しさを共有できる仲間がいること(つながり)
この中で、今回は主に③に焦点を当ててお話をさせていただきます。
まず、学習がしらけず英語を学ぶには、
使用する教材が“MAP(Meaningful、Authentic、Personal)”を持つように
デザインされていることが重要です。
MAPな教材がそろえば、
次はそれを使用してどのように学習を進めるかがカギとなります。
従来の対面式授業、CaLabo®EX などのCALLシステムを活用した授業、
CaLabo®MX などのMALLシステムを活用した授業をどのようにうまく取り込んで、
年間の、月間の、週間の、日々の学習スケジュールを組み立てることが極めて重要です。
皆さまご存じのように言語は毎日、継続的に、
そしてシームレス(seamless)に学ぶことで成長します。
言い換えれば、長期休暇などの学校のない日、英語の授業のない日、
そして通学途中などの隙間時間を上手に利用し、
継続的に英語を学ぶことができればいいことになります。
これを実現可能にするのが、MALLシステムです。
MALLシステムの機能(利点)を最大限に活用して、
1回15分程度で完結する多読多聴練習や音読練習、
さらに文法・語彙などの小テストを行うことができ英語運用能力を高められます。
さらに、個別学習の履歴がしっかりと残り、
そのデータを基に教員が学習者の学習状況がどのように進んでいるか、
どの部分で学習が滞っているのかなどを把握し
適切なアドバイスをすることが可能になります。
また、より公平で、客観的に生徒(学生)を評価するときにも
このデータを利用することができます。
このように、ICT、特にMALLシステムをうまく授業に取り込み活用していくのかを
これからの教員は求められると思われます。
最後に、MALLシステムなど、
新しいテクノロジーを導入する際の注意点を共有させてください。
必ず教員はMALLシステムをどのように、どのくらい、どの部分に使用するのかを
明確にしてくことが肝心です。
また、それを実現するための学習環境(セキュリティ関係、WiFi関係、デバイス関係など)に関しては、専門知識と経験を持った専門家集団に相談することが重要です。
見切り発進をすると、後で後悔することになります。
成功のカギは、「事前準備」と「学習と練習」、そして「熱意」です。

吉原先生

マナビ・クリエーション アカデミックアドバイザー
慶應義塾大学非常勤講師
サンフランシスコ大学教育学研究科英語教授法専攻修士課程修了後、
社会人や中学生から大学生までの指導、教材作成、カリキュラム策定をはじめ、
英和辞典の執筆、高等学校検定教科書の編集委員など、
英語教育の幅広い分野で活動する。

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