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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2012.02.14

指導要録等の電子化に関する標準化案と地域情報化

● 文部科学省における内容・方法検討と総務省における技術標準化検討 ●

文部科学省は「学校教育の情報化に関する懇談会教員支援ワーキンググループ」
の検討を通して、指導要録等の「転学等の際に必要な校務関係文書」の原本
完全電子化行い、電子情報のままネットワークを介して転学処理・進級処理等を
行えるようすることを示しました。

そのためには、現在、地域によって異なる指導要録等を「標準化」し、全国
どこに転学しても、円滑にデータのやりとりができるようにしなければなりません。
従来から文部科学省生涯学習政策局政策課教育改革推進室が中心となって、
初等中等教育局教育課程課や生涯学習政策局参事官室と連携しながら指導要録等の
電子化をどのように行うか、内容・方法について検討してきました。そして、
実際にソフトウェアや使用するネットワークセキュリティの技術標準化に関しては、
総務省情報流通行政局地域情報化推進室が、総務省・全国の自治体(教育委員会を
含む)・校務情報化関連事業者等で構成するAPPLIC(財団法人地域情報化推進協会)
と連携して、検討を進めてきました。
今回のコラムでは、その検討内容と標準化案についてご紹介します。

● 単に帳票を電子化するのではなく、真に教職員の負担を軽減する校務情報化 ●

私が主査を務める「APPLICアプリケーション委員会教育ワーキング」では、
平成21年3月に「教育情報データ連携標準Ver.0.1」、平成22年度3月には、
「同Ver.0.5」、平成23年3月には「同Ver.0.9」を策定し、公開してきました。
「教育情報データ連係標準」の中で、一貫して考えてきたのは、単に帳票を
電子化するだけではなく、帳票の原本を完全に電子化することに伴い、不要な
文書・決裁・会議・作業などの見直しなどのBPR(業務見直し=Business Process
Re-engineering)も行うと同時に、普段から児童生徒の情報を蓄積する「統合型
学習者情報データベース」を構築してそこから出欠情報・成績・所見など必要な
情報を自動的に流し込めるようにして、真に教職員の負担を軽減する共に、
教育の質的改善をも可能とする校務情報化です。
平成22年3月末までに教員1人1台の校務用端末が整備されたことを受け、
全国各地の教育委員会で、校務情報化を推進しようという計画が推進されつつ
あります。その際、単に今ある帳票を電子化するのではなく、上記のような
理念に基づいた校務情報化を検討していただければ幸いです。

●「教育情報データ連係標準」の概要 ●

「教育情報データ連携標準」は、全国どこの自治体・学校間でも円滑に指導要録
等のデータのやりとりができ、教職員支援と児童生徒の教育支援ができるように
するものです。同時に、学校情報セキュリティを高めて、情報漏えい等により先生
方が処分されるようなことを避ける狙いもあります。

そのために、守られなければならない技術的仕様を明確化しています。また、
入力された情報を再利用して有効活用できるよう、新しい教科の新設など将来の
学習指導要領がどのように変化しても対応できるよう、XMLによってデータの
受け渡しができるようにしています。

● 今後の校務情報化は「教育情報データ連係標準」準拠で ●

今後、各教育委員会で校務情報化を行う際は、帳票を電子化しただけの旧来型の
校務情報化を行うのではなく、「教育情報データ連係標準」の理念と技術仕様に
基づく校務情報化を検討することを強くお奨めします。

それによって、教職員の負担を軽減し子どもに向き合う時間を増やすと共に、
各種情報を有効活用して教育の質的改善を行い、近い将来やってくる「指導要録
等の電子的なやりとり」の際に必要となる「再投資」を防いで財政的な負担を
軽減することもできるようになるでしょう。

詳しくお知りになりたい方は、APPLICのホームページを参照してください。
また、総務省大臣任命の地域情報化アドバイザーである私を教育委員会(自治体)
を通してAPPLICに申し込み、総務省予算(旅費・謝金は総務省負担。1自治体年
3回まで)で招聘するのもよいでしょう。

APPLICホームページ:
https://school-security.jp/ml_link/111027r2.html?banner_id=b238

 

藤村先生

鳴門教育大学大学院 准教授。民間企業と共同開発した教育用ソフトウェア、
情報教育・社会教育・総合学習に関する著書が多数あり。
NHK、文部科学省、総務省、経済産業省関連の各種委員会の委員長、
委員も勤めている。

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