2011.06.29
電気がなければ、情報を守れない
3月11日に起こった東日本大震災では、想定外のことがあまりにも多く起こり、
このコラムを読まれている方の中にも、直接的あるいは間接的に影響を
受けられた方もいらっしゃるのではないかと思います。
震災直後しばらくの間は、被害地域の大学や市町村などのWebページもほとんど
停止した状態でした。停電が長期化したり、今回のようにサーバや回線機器が、
水ぬれにより故障したりするなどして、完全にその機能を失っていました。
しかし、中には被害を受けている地域のはずなのに、通常のサイトが
見えていたり、中には、すぐに震災に関する情報を更新している自治体や
大学もありました。
その理由は簡単です。Web関係を完全にアウトソーシングしていたからなのです。
私も複数の機関のWeb管理をしていますが、いずれもアウトソーシングしています。
そして、そのアウトソーシング先の会社から、震災後すぐに、
「当社では非常用バッテリと発電用の燃料の十分な蓄えがあるので、
心配ありません」とのメールが届きました。
国内に点在するデータセンターは、地震に備えての補強はもちろん、
自家発電エンジンに切り替わるまでの数秒間のためのバッテリや、
複数の電力会社からの電源供給など、おおよそ現在考えられる
バックアップ体制は万全といえますが、津波対策はどうなんだろうと
ふと思ってしまいました。
10メートルを超えるような津波というのは、なかなか国内では
想定されていないので、データセンターが海に近くないかどうか
という選定基準は今まであまり考えたことがなかったといえます。
というか、データセンターがどこにあるかという情報は、
情報セキュリティ上の理由から、○○県某所という表現になっている
ケースも多いので、ユーザには知りようのない情報ともいえます。
また、絶対的な電力不足に対しての計画停電というのも初めての経験です。
長期的に考えた時、どのような対応策があるのか、素人の私には
わかりませんが、3時間という単位での停電は、電気のありがたさを
実感するには十分すぎる時間であるといえます。
学校や小さな事務所に配置しているUPSは、サージなどによる瞬間的な停電などの
ため用意しているので、3時間となると一旦サーバを停止しないといけなくなります。
最近はNASを利用するケースも増えているので、NAS用のUPSや、自動シャットダウン
のシステムまでなかなか手が回っていないのが実状ではないかと思います。
話がそれていっているような気もしますが、言いたかったことは、
「電気がなければ、情報を守れない」ということです。
だから電気が常にあることを忘れてのシステム設計は、いざというときに
失うものも大きくなるということです。そういう観点から考えると、自治体も
学校もWebだけでなくアプリケーション系を含めて、可能な限りアウトソーシング
すべきだという理由がそこにあります。
今後ますます基幹系データのアウトソーシングも進むと思われますが、
また一つその際に考慮しないといけない項目が増えたように思います。
中川先生
三好市立下名小学校 教頭
教育情報化コーディネータ1級、総務省地域情報化アドバイザー、
Microsoft Expert Educators 2015 Education Leaders