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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2012.08.29

【5/26】学びのイノベーション&セキュリティフェア レポート(2)

ISEN主催「体感!クラウドと校務の情報化 学びのイノベーション&セキュリティフェア2012」
2日目(5月26日)の各講演についてのレポートです。

>> 1日目 5月25日のレポートはこちら

 

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【基調講演】「教育の情報化ビジョン 今後のICT活用はどうあるべきか」
(5/26 10:30-11:30)
横浜国立大学 教授 野中 陽一氏

約一年前に文部科学省より公表された「教育の情報化ビジョン」。

本講演の最初では改めて、その内容を解説し、学校関係者へ向けて再度の
理解を促しました。
その中で、「日本従来の指導の在り方や板書文化の柔軟性を認めながら、
ICTとの組み合わせを行うことが必要である」というお話でした。

また、日本における教育の情報化の現状を「学校情報化診断システム」のデータを
基に提示。教育の情報化先進国といわれる韓国・シンガポール・英国などでは、
なぜICTを普及させることができたのか、各国ごとに授業風景を紹介しながら、
それぞれの違いや共通点、日本の教育の情報化の推進のための方策を提言する、
といった内容でした。

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【基調講演】「ICT支援員の役割と運用体制
-『学習が変わる』『授業が変わる』『校務が変わる』を支援するために-」
(5/26 13:00-14:00)
上越教育大学大学院 教授 南部 昌敏氏 

学校における教育の情報化の推進に際し、忙しい教員への人的サポートである
ICT支援員の在り方についての講演でした。

まず、サポート体制については、学校CIO(校長)の下で、ICT支援員の適切な配置を行う
必要があること、ICT支援員に求める資質能力基準については、ICT機器の
操作スキルはもちろんのことコミュニケーション能力の重要性も強調されました。

その先進的な実践事例についても詳しく紹介。熊本市教育センターでは、9名の
ICT支援員に対し学校担当・技術担当・全体統括という役割分担を行い運用していること、支援員が講師となり教員へのICT指導力向上研修を行っているということです。

ICT支援員の雇用・配置・運用について整備を行うことで、ICTを活用できれば
「学習が変わる」「授業が変わる」「校務が変わる」が実現し、「わかる授業」
に繋がるというお話でした。

 

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【東京ISEN研修】「成功事例を体感! ISEN主催の情報セキュリティ研修」
(5/26 15:00-15:50)
ISEN委員

ISENが開催する情報セキュリティ研修の現状報告と、情報セキュリティ研修への
提案をさせていただきました。

まず、実際の研修のように、受講者の方に写真やイラストの中で情報セキュリティ上
問題のある点を考えていただいたり、ある情報漏えい事故の事例への対応を、
どのような順番で行うべきかを考えるグループワークなどを実施。

情報セキュリティ対策は、何かを守ろうという「機密性」の話だけではなく、
使いたいように使えるようにする「可用性」の部分も重要です。
セキュリティのあるべき形を実感していただけるように、自ら考え、周りの人と共有し、
自覚や気づきを促すような体感型研修をいたしました。

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【東京分科会】
「子どもたちの情報活用能力と教員のICT活用
   -新しい学びの環境がもたらす相乗効果-」」
(5/26 15:00-15:50)
尚美学園大学大学院 教授 小泉 力一氏

子どもの情報活用能力を育成する「情報教育」と、ICTを活用した「わかる授業」の
実現、というテーマの講演でした。

講演では、小泉先生が見てきた日本の情報教育の進展や、シンガポールのフューチャー
スクールの特徴などのお話がありました

フューチャースクールを通して「教わる側も教える側も変わった」「子どもたちはICTを簡単に使いこなし、教師は慣れると良きファシリテータになる」ということです。「ICTはあくまでも『道具』である。『ふだん使い』ができるようになれば、子どもも教師も情報活用能力が自然に身につく」ということを強調されていました。

 

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【東京分科会】
「学びのイノベーション事業」並びに「フューチャースクール推進事業」の取り組み
-新地町立尚英中学校の実践-」
(5/26 16:10-17:00)
目白大学 教授 原 克彦氏 
福島県新地町教育委員会 松本 一宏氏

福島県新地町の小中学校でのICTを活用の事例の講演でした。

福島県新地町では、授業、校務で先進的な取り組みを行っている様子を紹介。
2011年の震災による被災地でもありますが、教訓を生かし、「学校は避難所・情報拠点である」という考え方で設備を充実させていることが特徴的でした。

現在は授業でiPadなどを利用。ICT支援員が、授業での活用方法や問題点、
事例などを共有することで活用を進められているようです。今後の取り組みとして、
小中学校の連携を目指しているというお話もありました。

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【大阪分科会】
「教育クラウドを主軸とした教育情報化への取り組み」
(5/26 14:30-15:30)
徳島県三好郡東みよし町 校務の情報化推進プロジェクト座長 中川 斉史氏

総務省の地域雇用創造ICT絆プロジェクトや、教育クラウドの導入で注目を浴びる東みよし町。
「クラウド導入が進んだきっかけは、文部科学省から指導要録の電子化に関する
指針が公表されたこと」と中川氏。
クラウドの選定活動では、さまざまな部署・役職・学校へ働きかけられるよう組織を作ったこと、採用基準では、データセンターが国内にあることなどお話いただきました。

「クラウドで先生に余力を作り、子どもと向き合う時間を増やしたい。あなたは自分の子どもを、余力のない学校に預けたいですか?」という問いかけが印象的でした。

 

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【大阪分科会】
「情報セキュリティ体験研修会『リスク脳トレーニング』」
(5/26 16:00-16:30)
株式会社JMC 中谷 侑子氏

「情報漏えい事故を防ぐには、一部の先生方のセキュリティ意識が高いだけでは
防げず、学校全体で意識を高めなくてはなりません。しかし、よくある集合研修では
限界があります」と中谷氏。

参加者同士でお互いの気付きを話し合い、考え方の違いなどを理解・共有できる
「リスク脳トレーニング」を利用した体験研修を実施されました。職員室のイラストを
使い、セキュリティの危険性を考えたこの研修では「日々気をつける点が多々あると気づいた」「教員同士、声を掛け合い取り組まなくてはならない」などの声が参加者から挙がっていました。

 

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●その他 会場の様子など

会場入り口付近の展示ブースでは、校務支援システムや電子教科書、
情報セキュリティ対策ソフトなどのメーカーによる展示を実施。

東京会場では、iPadや、机に投影してタッチパネルのように触れるデジタル教材の
体感コーナーがあり、授業案なども紹介していました。講演の合間の休み時間には、
多くの先生方が展示ブースを訪れる様子が見られました。

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展示コーナーの横にはあるのはミニ講演コーナー。基調講演や分科会の合間に、
20分から30分程度、ISEN委員や講演者の先生によるミニ講演を行いました。
学校の先生にもご参加いただいて校務の情報化チェックを実際にやってみるなど、
参加者の方と近い距離でお話することができました。

このコーナーでは、一部の展示企業による製品紹介もありました。寸劇で、学校の
職員室の場面を再現しながら校務でのクラウドシステム利用のメリットを紹介するなど、
ユニークなプログラムもあり、参加者の皆様の注目を集めていました。

 

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好評だった「第2回 学びのイノベーション&セキュリティフェア」。
来年も開催を予定しています。

最新の事例などがご紹介できるよう、ISENとして引き続き努力していきます。
お楽しみに!

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