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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2013.12.02

【情報モラル教育の手引き】情報収集するときの情報モラル

 インターネットやモバイル端末の普及で情報の収集は、紙のメディアが
中心であった時代と比較して、かなり容易に、しかも短時間で大量に
集められるようになりました。しかし、情報が溢れる時代であるからこそ、
注意しなければならないことがあります。

(1) 情報の信頼性についての意識

 インターネットで情報を入手する場合、間違いや偽情報に注意しなくては
なりません。たとえば、3つのWebサイトを調べて、すべて同じ内容が
書かれているか、5つのWebサイトを調べて、そのうち4つのWebサイトに
同じ情報があるかなど、複数の情報源を用いて、情報の信頼性を確認する
習慣を付けるようにするべきです。

 見知らぬ相手からの情報や、出処不明の情報に対しては、引用元などの
情報源が明確である場合はまだしも、情報源に関する記述がない場合は
うかつに信用してはいけません。最近は、有名タレントやそのマネージャーを
名乗って、メールアドレスを間違えて送付してしまったように装う、
偽装メールも登場しています。まず疑う習慣をつけましょう。

(2) 情報の品質についての意識

 警察署や市役所、銀行、有名百貨店などのWebサイトだからといって、
すぐに信用するのは危険です。現実の世界で「消防署から来ました」
という言葉だけで、高い消火器を買わされた事件があるのと同様に、
Web上でもフィッシング詐欺に遭うことがあるのでご注意ください。

 情報の鮮度にも気を使う必要があります。例えば、弁護士のWebサイト
だからといって、必ずしも正しい法律が記載されているとは限りません。
法律は、時代や社会情勢に合わせて改定されるものです。
そのWebページがいつ更新されたのか、確認することも大切です。

 法令に基づいて年齢制限のある情報や、テロリズムや爆弾製造など
反社会的な活動につながる情報もWebサイト上には存在します。
情報内容について、正しい判断や意思決定ができるように、
常日頃から意識するようにしてください。

(3) 適正な手続きによる情報の収集

 Webに掲載されているからといって、情報を何でも勝手に利用できるものでは
ありません。特に個人情報の収集にあたっては、利用目的を明確にし、
原則として本人から情報を得るなど、適正な方法で取得することが必要です。

 筆者が講演や講習の講師を務めるとき、主催者事務局や参加者の方から
「写真を撮ってもよいですか?」とよく聞かれます。
私は「構いません」と答えて、講演や講習の中で、その許諾の取り方について
注意を呼びかけています。「私が許可したのは『写真を撮る』ことだけで、
その撮影した写真をWebや報告書などで使用することは認めていません」と
許諾した範囲について説明をします。

 写真撮影や録音、録画の許諾を取る場合、利用目的を明確にしていないと、
後にトラブルが発生することがあるので注意が必要です。

(4) 著作権などの知的所有権の尊重

 情報の収集にあたっては、著作権法を遵守する必要があります。
「学校だから、営利を目的としていない」といった勝手な判断は避け、
著作権に関して正しい知識を身に付けましょう。表示権、氏名表示権、
同一性保持権などの、著作者人格権についても尊重しなくてはなりません。
子どもが授業で製作をした作品であっても、著作権は発生しますので、
取り扱いには注意が必要です。

 著作権に関しては、さまざまな場面で判断に迷うことがあるかと思います。
そのような場合は、個人で判断せず、専門家に相談するのがよいでしょう。
筆者も判断に困ったときは、無料の著作権相談サービスを利用しています。
たとえば、公益社団法人著作権情報センターは「著作権相談室」を設けています。
こちらでは、電話による著作権相談に無料で応じてくれるので、
活用されてみてはいかがでしょうか。

▼著作権相談室(公益社団法人著作権情報センター)
>> http://www.cric.or.jp/counsel/index.html

ISEN副委員長 井上

株式会社JMC
APPLIC(一般財団法人全国地域情報化推進協会) テクニカルアドバイザー。
校務情報化や情報モラルに精通し、文部科学省や総務省の委員会や委託事業にも参画している。

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