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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.01.15

バランスのとれたICT活用

最近、教員だけでなく子供たちが主体的にICTを活用した授業を
始めようとする学校の相談が増えてきました。

教員が電子黒板や実物投影機、インターネットをどう利用したらよいか
などの相談が中心でしたが、グループに1台のパソコンや、一人1台の
タブレット端末など、児童・生徒の利用相談も増えてきました。

教員の知恵やアイデアが反映されたICT活用も多く、
児童・生徒の興味関心を高めるだけでなく、理解や思考を深める場面、
知識・技能の定着などでの活用も充実してきているようです。

そして、一番重要な各教科や単元の目標を理解した上で
ICTを活用した授業展開を提案される先生が増えてきました。

たとえば、理科の観察や実験の中で、自然の事物や現象と対峙し、
ある問題を捉えて予想や仮説を確かめた後、
捉えた事象を仲間と確かめ、共有し合う場面でICTが活用されています。

もう少し説明すると、自らの感覚を使い、体験を大切にした自然との
関わりの中で、関心や意欲を高め、観察、記録するという理科本来の
学習活動を重視し、その内容を共有する場面でICTを有効活用して
自然の事物・現象を理解し、深め広がるように指導の工夫が行われています。

さらに、理科における大切な体験やその体験を言語により論議し、
表現し、伝達する言語活動の中でのICT活用ができるようになると
ほかの教科への広がりもあるでしょう。

また、観察や実験器具を実際に操作して確かめることを体験させる場面では、
ICTを活用し、器具や機器の適切で安全な使い方を確かめながら
自身の身体を使い、学習を進めるような授業設計が行われています。
もちろん、アニメーションやシミュレーションを用いて分かりやすく
説明する場面もあります。

このように、理科では自身の観察や実験の体験を通して
さまざまな技能を身に付けることが大切であり、
それらの目標を理解した上でICTを活用することが行われています。

学校では、知識や技能を効率的に定着させるだけではなく、
各教科が目指している目標などを十分に理解し適切に活用することが
大切だと考えています。

平成25年6月14日の閣議決定で出された第2期教育振興基本計画が
進められていますが、これらは21世紀にふさわしい学校環境の整備であって、
すべての場面で活用を強いられているものではありません。

新しい社会で活躍する子供たちが身に付けておく情報活用能力など
いくつかの指導内容は明示されていますが、学習目標に対して
どう活用することが適切かを熟慮して取り組むことが必要です。

「無理やりICTを使っていませんか?」、
ICTを活用した授業の相談の時に少なくなってほしいと願っている言葉です。

原先生

1977年 尼崎市立尼崎北小学校 事務職員
1981年 尼崎市立杭瀬小学校 教諭
1987年 尼崎市立教育総合センター 教育工学係 指導主事
1989年 尼崎市教育委員会事務局総務部総務課 指導主事
1991年 平成3・4年度鳴門教育大学 学校教育研究センター 客員研究員
1991年 園田学園女子大学 情報教育センター 助教授(主幹兼務)
2005年 現職

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