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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.01.15

【情報モラル教育の手引き】 著作権は人権の一つ

日本国憲法 第29条に「財産権」があります。

第29条
(1)財産権は、これを侵してはならない。
(2)財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
(3)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

第2項に「法律でこれを定める」とあり、それらの法律の一つが著作権法です。
したがって著作権は、思想・信条・良心の自由、表現の自由、教育を受ける権利、
生存権などと同様の人権の一つです。

著作権は知的財産権に属することになります。知的財産権は3つに分類されます。
「著作権」、「工業所有権」、「その他の権利」です。

理解しやすいのは「工業所有権」です。
「特許権」、「実用新案権」、「意匠権」などがこれにあたります。
いずれも特許庁に申請して認定されます。「その他の権利」には、
植物の新品種を保護する「育成者権」(種苗法)や、
半導体集積回路の回線配置の利用を保護する「回路配置利用権」
(半導体集積回路の回線配置に関する法律)などがあります。

「工業所有権」や「その他の権利」は形があるものに対して権利が認められます。
形があり、手でふれることができ、目で見えるものは理解しやすいものです。
他人が所有するお金や宝飾品、車やカメラ、衣服といった物を
盗んでいけないことは皆理解しています。
他人の家の庭先に置いてある物を盗んだり、他人の家に勝手に入りこんでは
いけないことも知っています。

ところが「著作権」となったとたんに難しくなるのはなぜでしょうか。
小説や音楽といった形がない無体物が対象となる「著作物」になるからだと
考えます。小説の場合、本を買って読みます。その本を盗んではいけないことは
誰もが知っていますが、そのストーリーとなると「盗む(コピーする)」という
感覚が鈍くなってしまいます。「プライバシー」や「名誉」といったものも、
形がないので同様に難しいですね。

難しいからこそ、正しく理解する必要があります。
「営利目的ではないから」、「教育利用だから」など、
勝手な解釈で権利を侵害することのないようにしましょう。

ISEN副委員長 井上

株式会社JMC
APPLIC(一般財団法人全国地域情報化推進協会) テクニカルアドバイザー。
校務情報化や情報モラルに精通し、文部科学省や総務省の委員会や委託事業にも参画している。

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