ISENのつぶやき

TOP > 学校ICT・セキュリティコラム > 子供とともに伸びる教師力

研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.06.01

子供とともに伸びる教師力

ICT環境の整備を進めると共に、ICTを活用した授業研究や
公開研究会なども多く行われていますが、普段の授業にICTを取り入れ、
児童・生徒が主体的に情報活用に取り組むところまで
至っていないのが現状のようです。

子供とともに学ぶ姿勢

K小学校のA先生は、どちらかというと国語系を得意とする若い女性の先生で、
学級経営力も優れている方ですが、情報教育にはそう関心を
示す方ではないと言います。

しかし、学校として情報教育の実践研究に取り組むことになった時、
校務処理などでノートパソコンは使っているものの、
授業の中でICTをどのように使ったらよいか、目の前の電子黒板や
タブレット端末を見ながら考え込んでしまったそうです。

しかし、A先生は「大切なことは子供自身が学習する中で、
情報を活用する能力を育てること」だと考え、
授業での情報活用の計画を立てて、子供たちと話し合いを行ったのです。

協働して学ぶ体制を作る

A先生は「今回、タブレット端末がクラスに入ったけれど、
先生だけが使うのではなく、みんなも勉強するのに使ったらどうかな」と
問題提起をしました。

子供たちは話し合った末
「みんなで一緒に勉強して、タブレット端末の使い方を
教え合うのがよいのではないか」ということになったそうです。

子供たちはグループごとにICT係を決め、タブレット端末の使い方のほかに、
インターネットを通した情報の集め方、資料の作り方などを分担して
覚えて教え合いました。

自分たちのグループ内でわからない時は、ほかのグループと知恵を
寄せ合うなどして情報活用能力を高めていきました。

子供とともに伸びた教師力

一方、A先生自らも学び、子供たちが工夫し、学習に役立つ情報収集や
資料作成に取り組むときに有効なICT活用方法を指導しました。
「この方法で別グループが資料を作っているから相談してみては」と、
アドバイスをすることにより、協働して学ぶ姿勢も取り入れました。

子供たちの情報活用能力を伸ばす実践計画は成功し、
しかも情報教育自体に疎かったA先生自身の教師としての力の向上にも
繋がったと話していました。

大切なのは日常化

私の尊敬する故H校長がこんなことをある雑誌に書いていました。

「桜の苗木を植えて、育てて、花見をするまでには
長い年月の管理と努力が必要だが、造花を美しく飾り立て、
賑々しく花火を打ち上げて、花見興行をするのは短期間でもできるだろう。
教育でもこれに似た、前者的な方法と後者的な方法があることに気付く。
変貌する時流の中で、ともすると後者的なものに目を奪われやすいが、
教育の仕事は一朝一夕でできるものではない」

松田先生

現職:全国視聴覚教育連盟 常任理事・専門委員長、能力工学開発センター 評議員
所属学会:日本教育メディア学会

千葉県公立小中学校教員・校長、旭市教育委員会学校教育課主幹、
千葉県教育庁教育放送室主査、旭地域教育情報センター所長、
千葉県情報教育センター常勤講師、
文教大学教育学部・東京家政大学家政学部非常勤講師として勤務。
その間、日本教育工学振興会参与、日本視聴覚教育協会評議員、
文部科学省生涯学習審議会専門委員、初中局学習用ソフトウェア調査研究協力者、
文化庁著作権分科会小委員会著作物の教育目的の利用に関するWG委員などを務める。

主な著書:
情報教育実践ガイド(共著)、コンピュータやインターネットを利用した学習の計画と実践、
情報活用の実践力を育てるーインターネット利用の実践(共著)など

一覧へ戻る


PAGE TOP