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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.08.27

Webサイトなどの著作物と教育目的での利用

以前、著作権法の例外規定「著作物の非営利での教育目的の利用」について
権利者側の団体と話し合った時、「えっ!そこまで言うの?」と
驚きが隠せませんでした。
それから著作権の例外規定のイメージが大きく変わりました。

一口に、例外規定としての「非営利での教育目的利用」と言っても、
詳細には書き切れませんが、ご存じのように
著作物などを権利者側の許諾を得ずにコピーしたり、印刷して配ったり
できる範囲や条件は限定されています。

驚くような厳しい条件に、教育実践者側の一人として
「そこまで規制するの?」と権利者側団体に反論したものでした。
しかし、よく考えれば「教育だから許されるだろう」という
潜在的な甘えがあったのかも知れません。

例外規定の条件で特に厳しさを感じたものは次の2点です。

(1)授業などを担当する者自身が著作物をコピーすること
  (直接、著作物のコピーを使って授業をする方や
   サポートする方などを言います)
(2)本人の教育活動そのものの中で使うこと
  (著作物をコピーしたり、録画して保存しておき、
   ほかの教師が利用することは不可です)

つまり、著作物を授業に使うために、Webサイトやテレビ番組の
一部をコピーすることは許されますが、条件として使う教師や
授業をサポートする方に限定されるということです。

たとえば、直接授業に関わらない職員に依頼して、
Webサイトからコピーしてもらったり、テレビ番組を録画して
もらったりするのはダメだということです。

もしよい資料だからといって、ほかの教師に貸したり、
教材として保管して後で利用したりするというやり方もNGです。

さらに「厳しい!」と感じたのは、たとえば著作物をコピーする場合は、
授業を受ける児童・生徒数しかコピーしてはならないという条件でした。

直接関係ない話ですが、ある権利者側の団体から、
学校で採用する市販テストブックの販売数と実際に授業で利用されている
数の差を表すデータを示され、少数購入されたテストブックが、
コピーされて使われている現実を指摘されたことを思い出しました。

今日、著作者の権利である人格権やルールを考えると、
学校教育や社会教育などにおける利用だからと、
何をしてもよいはずはなく、先生方自身が著作権の趣旨を
十分に理解して対応することが望まれます。

松田先生

現職:全国視聴覚教育連盟 常任理事・専門委員長、能力工学開発センター 評議員
所属学会:日本教育メディア学会

千葉県公立小中学校教員・校長、旭市教育委員会学校教育課主幹、
千葉県教育庁教育放送室主査、旭地域教育情報センター所長、
千葉県情報教育センター常勤講師、
文教大学教育学部・東京家政大学家政学部非常勤講師として勤務。
その間、日本教育工学振興会参与、日本視聴覚教育協会評議員、
文部科学省生涯学習審議会専門委員、初中局学習用ソフトウェア調査研究協力者、
文化庁著作権分科会小委員会著作物の教育目的の利用に関するWG委員などを務める。

主な著書:
情報教育実践ガイド(共著)、コンピュータやインターネットを利用した学習の計画と実践、
情報活用の実践力を育てるーインターネット利用の実践(共著)など

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