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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.09.01

人格を持った道具を扱うことの難しさ

最近、車を乗り替えようと思い、気になる車の口コミサイトを頻繁に見ている。
その車を買おうと思っている人や、すでに買った人からのさまざまな感想が
サイトに書き込まれている。30代後半からの人が多いと思われるサイトだ。
いい大人がたくさん書き込みをしている掲示板だと思っていただきたい。

何かを質問したらすぐに「過去スレを確認してから書き込め」
なんていう書き込みをする輩が必ずいる。
それに対し、熱く応戦する人もいれば、「すみません、初心者なもので・・」
と言って、炎上しないようにうまく切り抜ける人も増えてきた。

これは、匿名掲示板の「渡り方」なのかも知れない。それこそ、過去スレを
見ながら、掲示板のケンカを見ながら学習してきたのかもしれない。

また、ある場所では車を買い替える時に、前の車をどうやって手放したか
という書き込みが話題になっている。
「何年も乗っていたので、それにまつわる子供の成長や
親との別れなどの思い出がよみがえってくる」という書き込みや
「きれいに洗車して、満タンはムリでも少しガソリンを足してお別れした」
など、単なる車の買い替えと言えども儀式的で、
相棒への別れを惜しむ様子が鮮明に書かれていた。
これは、30代後半からの書き込みが多いこの掲示板ならではなのかもしれない。

道具はそれだけ愛着がわくモノであり、喜びや悲しみを共に
分かち合ったという気持ちが込められているのだと思う。
スマホを頻繁に取り替える方々はどうなのかなと、ふと思った。

車の場合は、乗り替えると、すぐに手放すので別れを惜しむのかもしれないが、
スマホなどは機種変更しても、前の機種は自分が持って帰る場合が多いので、
車の乗り替えのような気持ちにはならないのかもしれない。

ただ「メールの思い出が・・」と言って、
これまでの機種変更前のスマホを何台も持ち続ける人もいるようだし、
逆に嫌な思い出がよみがえってくるので、前の機種は早く
目の前から消えて欲しいと願う人もいるだろう。

これまでも結局何か問題が起きた場合、道具のせいにするのが一般的で、
その道具の購入制限や運用で何とかしようと動き出すケースが多い。

道具が自分の相棒になるくらいになれば、たいしたものであるが、
道具の向こうで使っている人間の行動や書き込みで、
なくてはならない道具が、悲しい道具に変身してしまうこともある。
そういう意味では、スマホは意志を持った道具であり、
人格を持った道具と言える。

つまり、スマホなどはこれまで以上に道具であることを
意識しない道具なのだと思う。だから、たかが道具と割り切れず、
悩みの種となり、今日の社会問題を引き起こしているのだ。

人格を持った道具であるが故、その道具の扱いは本当に難しい
のだということを、スマホなどを買い与える前に親子で話し合うことが
できるといいなと思っている。

中川先生

三好市立下名小学校 教頭
教育情報化コーディネータ1級、総務省地域情報化アドバイザー、
Microsoft Expert Educators 2015 Education Leaders

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