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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2015.09.24

ルール作りと自己決定の関わり

近年、PTAや教育委員会で児童・生徒のスマホやSNSの取り扱いについて、
一定のルールを設けようとする動きが活発になってきている。

自分の意志より、何か一定のルールに従って自分の意志をコントロール
しようとするのは、大人社会でも頻繁に行われていることだから、
それ自体を否定するつもりはない。
このことは、おもちゃ売り場で親が子供に「お店の人に怒られるから、
品物を触っちゃだめだよ」と、注意するのとよく似た構図である。
自らのルールあるいは、親と子の関係にあるルール以上に、
外部からの判断を優先することになる。

誤解してほしくないのは、スマホの場合は、家庭によって許容範囲が
大きく違うため、こういうルールを作る必要があるのであって、
そこに必要なのは「すべての親が関わってルールを作るという
プロセスが成されているかどうか」ではないだろうか。

「面倒くさいからお願いします」とか「役員だけで決めてください」
というのが一番困る。それは、当事者意識を持ってもらいたいからだ。

学級経営の中でよく学級のルールを自分たちで作っていくという定石がある。
これらを実践した先生も子供たちも「自分たちで決めたルールは
しっかり守ることができた」と口を揃えて言うそうだ。
そこには、当事者として自分たちのルールを自分たちの話し合いで
決めたということが「守ろう」という意識に繋がるのだと思う。

情報モラルに関する話を児童・生徒にする場合、
「昨日の9時に何をしていましたか?」と聞くようにしている。
想定される答えとしては「テレビを見ていた」、「お風呂に入っていた」、
「勉強していた」、「家の人とスーパーに買い物に行っていた」、
「塾に行っていた」、「運動していた」・・・など、多くの場面が想定される。
そして、どのくらいの人数がいるか、手を挙げてもらうと、
実にさまざまなことをして過ごしているのがよく分かる。

さらに「では、そのときに、あなたに電話が掛かってきたとしたら、
出ることができますか?」と聞いてみる。
するともちろん、出ることができる場面とそうでない場面に分かれる。

ここでは、ほぼすべての子供たちに分かりやすいようにあえて電話としたが、
たったこれだけのことで、過ごし方があまりにも違うため、
すぐに電話に出られないことが当たり前だと気付く。

つまり、こんな所から自分の生活と友達の生活を知り、
その中でルールを作っていくというプロセスができれば、
実効性の高いルール作りとなるのではないかと思う。

中川先生

三好市立下名小学校 教頭
教育情報化コーディネータ1級、総務省地域情報化アドバイザー、
Microsoft Expert Educators 2015 Education Leaders

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