2016.02.23
保護者とともに情報モラル教育を(2)
○まずは買い与える前に
携帯電話やスマートフォンは、持っていない子供たちにとって憧れの道具です。
子供たちに欲しいものを聞いてランキングすると、必ずと言っていいほど
「ケータイ」や「スマホ」が上位に登場します。
しかし、その危険性や取り扱う際の留意点などを質問すると、
まともに答えられる子供は少なく、憧れが先行してしまっていて
冷静な判断力を失っていることがわかります。
また、親も実際のところは漠然と「危険性がある」と感じているだけで、
何がどのように危険なのかというような詳しいことを知らなかったり、
より良い使い方についての知識が乏しかったりして、心許ない状況があります。
子供たちにケータイやスマホを買い与える前に、
保護者が正しい知識を身に付けることが大切です。
最近では、メーカーや携帯電話会社でも、使用上の注意点を
Webサイトやパンフレットにまとめて、注意喚起する取り組みを
していることがあります。
そのほかにも、検索サイトで「情報モラル」を検索すると、
さまざまな情報モラルに関連するWebサイトがヒットしますし、
保護者向けの情報モラルに関する本もあります。
そうしたものを使ってどんな問題があるのかを把握しておくと良いと思います。
そして、子供とよく話し合い、情報機器の使用に関するルールを
決めておく必要があります。できるだけ子供が納得できるような
話し合いを心掛けたいところですが、中には内容が複雑で難しかったり、
子供に教えることが適切でないようなこともあります。
そうしたことについては、「ダメなものはダメ」と言い切ることも大切です。
○もしもルールを守れなかったら
ルールの中に必ず入れてほしいことは、「ルールを守れなかったら
使わせない」というルールです。場合によっては、「解約する」
「二度と買い与えない」くらいの毅然とした態度が必要です。
ケータイやスマホが、インターネットを介して情報をやり取りする
道具であることを考えれば、自己中心的な行動は、
多くの人に迷惑をかけることになります。
もう一つ重要なことは、未成年のうちは、何か問題が起きたときに
責任を取るのは親(保護者)であるということを親自身が自覚し、
子供にもそのことを十分に理解させることです。
そして、親(保護者)が情報機器の利用状況を把握しておく必要があり、
そのことについてはプライバシーの問題とは関係がないということを
子供に伝えておく必要があります。
「子供のプライバシーを尊重する」とか「子供の主体性に任せている」
などときれいごとを言って、子供が何をしているのかを把握する努力を
怠っていてはいけないのです。
○ちょっとおかしいかな...と思ったら
問題を認識した場合は、まず本人から直接事情を聞くことが大切です。
その上で、利用している携帯電話会社と連絡を取り、
詳しい利用状況を把握しましょう。
こうした情報に関しては、契約者以外の人は照会できないことに
なっていますので、問題が学校などでの人間関係に及ぶような場合でも、
学校などから直接業者に情報提供を求めることはできません。
各携帯電話会社は、「お客様相談窓口」や「カスタマーサポートセンター」
などの名前で相談窓口を設けており、その利用方法やよくある問題に対する
FAQなどをWebサイトに載せていることが多いので、
問題が起きる前にあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
<参考資料>
→ 消費・生活に関わるトラブルへの対処方法が紹介されている。
インターネット利用に関するトラブルについても情報がある。
http://www.kokusen.go.jp/map/ には、
全国の消費生活センターなどの情報へのリンクがある。
→ インターネットを利用した犯罪に巻き込まれた場合の相談窓口。
http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm には、
各都道府県のサイバー犯罪相談窓口などの一覧も用意されている。
寳迫先生
埼玉県所沢市立若狭小学校 主幹教諭
著書:
子どもの力を引き出す学級担任
クラスをきちんとまとめるコツ!(ナツメ社教育書BOOKS)