2016.06.10
授業での著作物の利用
授業を行う場合、その過程で教科書や副読本以外の教材を、
既存の著作物を利用して作る場合も多いと思います。
一般的には、黙って他人の著作物を利用したり、
コピーして配ったりしてはなりません。
しかし、このような一定の条件下にある学校や教育機関では、
他人の著作物を利用する場合、著作権法に無断で利用できる
例外規定が設けられています。
<著作権法第35条第1項>
「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)
において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における
使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、
公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び
用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に
害することとなる場合は、この限りでない。」
簡単にいえば、学校教育法に基づく学校で、教育を担当する先生が、
その授業の中で、他人の作品の一部を利用してプリント教材を作って、
子供たちに配付する場合などは、著作権者の許諾を得なくても
行えるということです。
しかし、学校の場合でも、教育課程の基準である学習指導要領に基づく
教育活動及びそれに準ずる活動であることが前提となっているようです。
他人の著作物をコピーする場合は、あくまでも使う本人か、本人から
コピーを依頼された者に限られています。また、その授業を受ける
児童生徒もコピーして使うことが可能です。
コピーする部数は、授業を受ける児童生徒数に限定されるため、
ほかの先生が「よい資料だから私のクラスの分も印刷しよう」と考えても、
それは許されません。
そのほか、先生が主体となってコピーする場合でも、
著作権者の利益を不当に害する場合は、
著作権者の許諾が必要となる場合があるようです。
たとえば、ソフトウェアなどを児童生徒が使用する複数のPCや
タブレットPCにコピーする場合や、市販ワークブックやドリル教材などを
コピーして配付する場合などは原則として著作権者の許諾が
必要となるので注意してください。
また、授業以外でも使用できるようにコピーする場合は
原則として著作権者の許諾が必要となるようです。
かつて、例外規定のガイドライン作成の協議が行われた時、
某業界の委員が、市販ワークブックの学校への販売数に対して
利用数の多さを挙げて、コピーの問題を指摘したことがありました。
まだ、さまざまな事例がありますが、
他人の著作物を尊重する考え方があること、
それを学校での授業で使う場合は例外として、
無断で利用できることをご理解いただけたらと思います。
松田氏
全国視聴覚教育連盟 常任理事・専門委員長
能力工学開発センター 評議員