2016.06.24
ICTを活用した授業の普及への取り組み
近年のICT機器の技術進歩には著しいものがあると言われて久しい。
また、PCだけでなく、電子黒板(ユニット型やプロジェクター型も含む)、
書画カメラなどのICT機器が、数字の上では多くの学校に普及している。
しかし、学校現場では本当にICTの活用が進んでいるのだろうか。
文部科学省の整備目標が達成されている学校はともかく、
多くの学校では、学級数分のICT機器の整備が行われていないために、
一部の先生が独占的に使い、「○○先生が使っているから…」と言って
ほとんど活用しない先生がいるのが現実ではないだろうか。
これは、かつての視聴覚機器の活用で起きていたことと同じである。
多額の予算を使い、せっかく整備したICT機器が活用されていない
というのは宝の持ち腐れである。
さらに言うと、児童・生徒の意欲を引き出し、興味関心を高める
効果があると、さまざまな調査で報告されており、
「学力の向上に効果的」であるICT機器を活用しない手はない。
そのため、ICT整備がある程度進んだ学校の活用を、
いかに行うかが、自治体そして学校の課題となっている。
ではなぜ、学校現場ではICTを活用した授業が普及しないのだろうか。
それは、以下の理由が挙げられる。
(1)すべてのICT機器を活用しようとしている。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
→ 多くの先生が、電子黒板やPC、書画カメラ、タブレット、
あらゆるICT機器を活用しなくてはならないという
イメージを持っていて、活用のハードルを上げている。
(2)45分(50分)の授業時間のすべてで活用しようとしている。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
→ 多くの先生が、授業時間のすべてでICT機器を活用しなくては
ならないというイメージを持っていて、活用のハードルを上げている。
(3)ICT機器の準備が大変であると思っている。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
→ 配線や機器の設置の方法が分からないため、
自分には活用できないと思い込んでいる。
(4)授業を新たに作らなくてはならないと思っている。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
→ 今までの授業の進め方から、ICT機器を取り入れた授業を
一から作り直さなくてはならないと思い込んでいる。
(5)ICTを使うことの効果が分からない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
→ 今までの授業で学力は付けさせることができる。
ICTを活用する効果が理解されていない。
これらは、私自身が多くの学校を訪問して、ICT機器を活用した
授業の研修を行う中で聞いた理由である。
もちろん、ほかにも理由はあるとは思うが、
これらのイメージ(思い込み)をなくすことで普及が進むと考える。
鳥越先生
千葉県市川市立行徳小学校 教頭