2016.12.22
学校ICT環境整備【行政の立場】~ 雰囲気の醸成から予算獲得までの道のり ~(後編)
<前回は学校ICT整備への思いや、ネットワークインフラ整備時の状況、
ICTを組織として整備することの重要性をお話いただきました。>
学校情報システム課に異動後は、課長補佐として導入2年目の
校務支援システム改修に着手した。
一度導入したパッケージソフトを改修することは非常に困難を極めた。
年に1,500万円のシステム改修委託費を3年間予算化する必要があった。
学校現場では、これまでの事務の流れや慣習、学校独特の処理手順などがあった。
そのため、落としどころを探っては改修仕様書に反映し、
業者と折衝していく業務に膨大なエネルギーを必要とした。
たとえば、画面内の表の「行列固定機能」の実現である。
パッケージではできないことが分かったが、
業者からは「それはシステムの根幹に関わることなので改修できない」と
言われたこともある。
これはほんの一例だが、さまざまな学校現場の要求とシステム改修の狭間で、
3年間葛藤が続くことになった。
このための予算獲得も、財政当局や情報システム課から
「いつまでお金を投入するつもりなのか。パッケージのままでは
だめなのか!」と強く指導されたものである。
しかし、3年間の期限を設けて、その期間内で完結させるという約束をして、
予算化ができた経緯がある。
ここで得た知見は「パッケージを使うなら、カスタマイズせずに
そのまま使う」「利用者教育を徹底する」ということである。
また、学校現場の要望が最優先なら「初めから自己開発」するつもりで
臨むことである。もちろんライセンスの問題が、常について回ってくる
ことも忘れてはならない。
現在本市は、この中庸を進んでいる状況にあると言える。
稼働している全28種類の大小システムのうち、
パッケージ利用は4種類ほどである。
グループウェア、通知表、要録、保健関係などの必要最低限の部分は
パッケージで整備し、そのほかは独自開発することで棲み分けた。
もちろん、市の住基システムと学齢簿システムとの連携を進め、
基幹情報はすべてのシステムで連携を図り、
今では円滑な運用ができている。
星川先生
兵庫県西宮市立深津中学校 校長