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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.02.24

学校ICT環境整備【学校現場の立場】機器整備と教員 ~ICTとの上手な付き合い方~

今年度より晴れて、学校現場に校長として復帰することができた。
これまで自分自身が整備してきた校務系や教育系のICT環境を、
やっと使う立場になったので、検証しているような感がある。

教員の構成は、ベテランと若手が入り混じっている。
日常の忙しさもあり、授業で意識してICTを活用しようとしていた
教員はごくわずか。
しかし昨年9月、電子黒板が全普通教室に導入されたのを契機に
少しずつ意識が変化してきた。
ただ、ICTを利用してみたいが何となく踏み込めない、
といった雰囲気であったため、「ICTとの上手なつきあい方」という
タイトルでマニュアルを作成し、私が講師となって校内研修を行った。

教員は、「自分の授業スタイルを変えること」への
抵抗感を持っていた。

これに対して、何よりも授業作りを基本に考え、
以下3点をポイントとして「無理にICTを使わなくても良いですよ」
というメッセージを発信した。

(1)自分の授業スタイルにICTで少し味付け
(2)ICTは適材適所5分まで
(3)ICTを使わない方がいい学習場面を先に考える

とにかく不安を取り除くことが一番である。
そのかいあってか、今では指導者用デジタル教科書を中心に
書画カメラやタブレット端末などを学習場面に応じて、
日常的に活用しようとする教員が増えてきており、
次の一手にコマを進める基礎ができつつある。

■ 目指す活用イメージ ~生徒が自ら活用するための仕掛け作り~
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まずは教員のスキルアップや意識改革を目指すべきだが、
現実はそうは簡単にいかない。教科の特性や指導者のこだわりなど、
教員はあまり変化を好まない傾向があるようだ。
そこで、次の一手として、生徒が自らICTを活用するための
仕掛け作りに取り組んだ。
実際には今は準備段階であるが、
教員に次年度からの方向性として示し、理解を得ている。

まず、学級内の班の係である。どの中学校も6人一組で
班編成することが多いが、そのうちの一つの係「掲示係」に
「情報係」を付け加えて、「掲示・情報係」とすることとした。
活動内容は、教室の機器などの電源オンやタブレット端末の
持ち出し・片付けなど、ICTの授業準備や機器管理などを
担当する予定である。

次に、生徒会活動である。広報委員会の活動として、
これまでお昼の給食時間に音楽放送だけを流していたが、
次年度からは校内映像配信システムを利用して、
映像付きの番組放送をしていく予定である。
この放送では、給食献立紹介やインタビュー、
地域の方々や行事紹介など、生徒自らが取材・編集して
放映できるようにしていきたいと考えている。
この取り組みを通して、生徒の情報活用能力や表現力の育成
なども図っていきたい。

課題は、どう持続発展させていくかである。
指導できる教員は、ずっとは在職しない。
したがって、生徒のICT機器の操作スキル向上を図りつつ
情報活用能力全般を高め、生徒たち同士で
伝達・伝承し合っていくような風土を築き上げていく
必要があると考えている。

案外子供たちの方が、ICT活用を抵抗なくやれるはずである。
教師は、子供たちの活動の適切さとコンテンツ管理を
指導監督する立場で良いと考えている。

■ 今後に向けて
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来年度の校内研究授業は、教科を横断したICT活用を主眼に
大学の先生なども招き、授業作りと学力向上にこだわって
取り組んでいきたい。

いずれにしても、教員を追い込むような進め方ではなく、
「必要感」を感じてもらいたい。
授業の工夫改善に資するICT活用を基盤にして、
慌てずじっくり取り組んでいくことが何よりも大切であると考えている。

星川先生

兵庫県西宮市立深津中学校 校長

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