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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.08.25

◆連載コラム第4回◆校内研修の事例紹介(ワークショップ型校内研修)

 前回、カリキュラム策定ワークショップを紹介した。
策定したカリキュラムに基づいて、全校体制で情報モラル教育を
実施するためには、それを実行するための研修会を企画する必要がある。
実際に授業に役立つ研修会にしたり、学校が対応可能な範囲での
行動計画を立てたりすると良い。実践につなげることを意識して
研修講座を企画し、実施することが重要である。
 なお、今回紹介する研修会の方法は、愛知県総合教育センター(2015)が
開発したものである。愛知県総合教育センターは集合研修を受けた教師が、
勤務校で校内研修講師を担当することにして、研修内容を県内全域に
広げる工夫をしている。方法さえ学べば、外部講師を呼ばなくても
実施可能な研修会であるため、紹介する。

(目的)
・ネット上で発生している具体的な問題事例を知る。
・その問題に関係する者、機関を認識し、
 それぞれの問題点を分析することを通じて、
 この問題への対処方法について検討するためのポイントを明確にする。
・技術的な要因とそれ以外の要因に分けて考え、
 具体的な指導する場面や方法を提案する。

(特徴)
・学年、教科の枠を超えた全員参加型研修
・PBL(Problem Based Learning)型研修
・このワークショップを児童生徒向けに修正して授業でも実施可能

(準備物)
・模造紙、ペン、付箋(青、ピンク、黄、緑)のセット(グループ数分)
・保護者と子どものための スマホ・ケータイトラブル読本
( http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kyoiku-kikaku/0000069200.html より
 PDFファイルと電子ブックデータをダウンロード可能、印刷して配付することも可能)

(研修の進め方)
 研修は次の順に行う。研修講師は進行をし、
最後の発表の場面でコメントや補足解説を行う。
・9つの問題事例をグループ毎に割り振る。
・問題事例を読む。
・問題に関係する者、機関を考え、それぞれに関係する問題を分析する。
・出された問題をグルーピングし、それぞれの関連を考える。
・関係者毎に望ましい状況を考える。
・学校として可能な対応策を考える。
・各班から、問題事例毎の対応策を発表しあう。
(校内研修の場合は、学校として取り組む具体案を選び、実行に移す。)

(この研修の利点)
・技術的要因とそれ以外の要因に分けて考えることにより、
 情報機器を使うことが問題なのではなく、
 それの使い方や児童生徒の言動に問題があることを共通認識できる。
・グループで分析や対応策の協議をする中で、
 教員それぞれの思いや考えが共有される。
・具体的な対策案を生み出すことができる。

 この研修方法を少し修正することで、生徒を対象にした授業として
実施することが可能である。ぜひ、お試しいただきたい。

図1.ワークショップ型校内研修の様子
http://www.school-security.jp/ml/187/zu1.jpg

<参考文献>
愛知県総合教育センター(2015),
トレンドを踏まえ、変化に対応できる情報モラル教育指導者養成のための研修カリキュラムの開発,
独立行政法人教員研修センター平成26年度教員研修モデルカリキュラム開発プログラム報告書

愛知県教育委員会総務課教育企画室(2014),
保護者と子どものための スマホ・ケータイトラブル読本,
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kyoiku-kikaku/0000069200.html

長谷川先生

金城学院大学 国際情報学部国際情報学科
メディアスタディーズコース 教授

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