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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.09.26

◆連載コラム第1回◆ 教育の情報化の考え方で学校を変える

 県教育委員会で6年間、県⽴学校を中⼼に教育用・校務用パソコンの整備や
各種校務支援システムの導入・運用を担当した。特に校務支援システムの導入に
際しては、これまでの学校の業務形態にシステムを合わせるのではなく、
システムに合わせた業務形態に変えることにより、学校業務のスリム化を
図ることとした。そのために学校内の帳票の標準化と電子化を⾏い、システム導入
に併せ、学校内の決裁権の委譲にも取り組んだ。導入にあたり校⻑会や学校担当者
への説明を⾏ったが、「押印を伴う出勤簿や帳票を無くすこと」
「電子申請・電子決裁」に校⻑会から不安の声が寄せられた。不安の声の⼤半は、
「教職員の管理がおろそかになる」というものであった。導入後、
各学校に訪問すると、教頭や事務職員から「出勤簿や帳票の整理や管理が
なくなって業務が減少した」と感謝の声を多く頂いた。また、校⻑からも
「決裁権限の委譲やシステム化で決裁が減り、少し時間に余裕が
持てるようになった」という声も多く頂いた。意外と学校現場は、適応⼒が
あることを実感した事例の1つである。このように従来のものが無くなり、
新しくなることに、学校現場は抵抗感を感じたり、不安がることがあるが、
システム導入と同じように、これまでの業務を思い切って⾒直すことが、
今、学校には求められているのではないだろうか。

 県教育委員会を出て管理職となって7年、校⻑として5年、本校
(熊本県⽴翔陽高等学校)に赴任して3年になるが、これまでの経験を⽣かし、
本校では思い切った学校改⾰を⾏っている。

 学校改⾰の取り組みの内容については、本校に赴任した1年目(平成27年度)
の取り組みを県教育委員会が発⾏するメールマガジンで紹介したので、
そのメールで紹介に代えさせていただく。

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 タイトル「やめる勇気を」
「総合学科は忙しい」本校に赴任して改めて実感させられた。総合学科では、
⽣徒の希望により講座が開設されており、他の高校と⽐べ、1.6倍の講座が
開設されている。また、多くのキャリア教育が年次、系列、分掌ごとに
実施されており、これらが多忙の原因にもなっている。特に直接⽣徒を指導
する担任の負担は⼤きいものがある。赴任して、朝会・会議の削減や⽇課の
変更等に取り組んだが、思うような効果を得ることは難しかった。
そこで来年度に向け、各分掌で実施している⾏事や業務、⼈員の20%削減を
図り、担任には分掌業務を持たせず、その他の教員による1⼈1分掌の校務
分掌を構築することとした。現在、各分掌からの削減案の提出と
ヒアリング、再依頼を終了したが、どうにか1⼈1分掌が構築できそうである。
これまでやってきたことを辞めるのには勇気がいる。しかし、
その決断は管理職にある。管理職の意識で学校は⼤きく変わる
のではないだろうか。

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この⽂章のとおり赴任2年目(平成28年度)から本校は⼀⼈1分掌となった。
その効果はとても⼤きく、進路実績や入試倍率など、数字で⾒えるもの
(⾒える化できるもの)は、これまでで⼀番良いものとなった。
それ以上に、教職員の仕事に対する意識が変わったことが、私にとっては
⼀番の効果であった。
 教育の情報化の考え方や取り組みは、働き方改⾰が叫ばれている学校に
とっては、とても参考になるのではないだろうか。

柿下先生

熊本県立翔陽高等学校 校長
熊本県教育庁教育政策課指導主事として主に校務情報化に携わる。
平成19年度から21年度の文部科学省「先導的教育情報化推進プログラム」において、
全国初の指導要録の完全電子化を行う。
文部科学省 学校教育の情報化に関する懇談会 教員支援ワーキンググループ委員

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