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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2017.10.27

◆連載コラム第3回◆ ICT整備を進めるためには

 文部科学省「学校おけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」は
7月10日に、学校の設置者である地方自治体による計画的な情報通信技術(ICT)
機器の導入に向けた議論の最終まとめを了承した。

 主な内容は、授業で児童・生徒が使う学習用コンピュータについては、
必要なときに一人1台環境が実現できるよう、当面は3クラスに1クラス分程度の
台数を整備する。ネットワークについても全学校の普通教室・特別教室で
無線LAN環境を整備する。などが提唱された。今後、文部科学省では、
最終まとめを踏まえて、自治体の整備目安となる「教育ICT環境整備指針」を
年度内に策定することとなるが、一番の課題は、その財源となる地方交付税措置が
確保できるかということになる。

 財源の確保については、財務省、総務省などの他省庁との折衝や協議となるが、
3月に告示された次期学習指導要領では、「情報活用能力」を学習の基盤となる
資質・能力と位置づけており、また、コンピュータや情報通信ネットワークといった
ICT機器についても、その実現のために必要な環境を整備するとされている。

 また、最終まとめでは、次期学習指導要領下の今後の学習活動の中で、
どのような活動場面を想定し、どのようなものから優先的に整備するかも
明確に示されており、特に大型提示装置(電子黒板・テレビなど)の常設整備や
小学校・特別支援学校への実物投影装置(実物投影機・書画カメラ)の常設が
優先されている。

 ここまでの文面を読むと、待っているといずれ整備が行われるという
感覚になるが、現状もICT環境整備は、地方交付税措置で行われており、毎年3月に
実施される教育の情報化の実態調査の結果を見ても、自治体によって整備状況に
大きな差があることが浮き彫りになっている。

 ここで1つ言えることは、学校や教育委員会が財政部局に対して、
「ICTを活用した指導方法やその効果、その必要性」をしっかりと
説明できるようにならないと整備は進まないということである。ICT教育で先進的な
取り組みをしている学校や自治体では、そのほとんどで、その成果や効果の
見える化が行われている。ここまでできなくても学校から「その必要性」について
声を上げることが整備の第一歩である。声を上げた学校がモデル校となり、その後、
整備が進んでいくのは、よくある話である。学校のICT環境を整えるのには、まずは、
管理職や教育委員会に対して声を上げることが重要である。

柿下先生

熊本県立翔陽高等学校 校長
熊本県教育庁教育政策課指導主事として主に校務情報化に携わる。
平成19年度から21年度の文部科学省「先導的教育情報化推進プログラム」において、
全国初の指導要録の完全電子化を行う。
文部科学省 学校教育の情報化に関する懇談会 教員支援ワーキンググループ委員

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