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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2018.05.11

情報セキュリティからみた学校の不思議(2)

○ 「学校における」情報セキュリティポリシーではないのは?

 平成29年3月に文部科学省は「学校における情報セキュリティ及びICT環境
整備等に関する研修教材」を作成しています。
「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を策定する半年前です。
「教育情報」という言葉は、この半年間に使われるようになったと考えられます。

 さて、学校におけるICT機器の導入がなかなか進んでいないという感覚を
持っている方が多数ではないでしょうか。なぜか。ICT機器の整備には
お金がかかるからです。

 特に、成績を管理する校務支援システムは、高度な情報セキュリティが
確保されている必要があります。つまり、高いものが必要です。

 文部科学省は近年、「統合型校務支援システム」の導入を進めています。
統合型校務支援システムとは、「教務系(成績処理、出欠管理、時数等)・
保健系(健康診断票、保健室管理等)、指導要録等の学籍関係、学校事務系など
統合して機能を有しているシステムのこと」とされています。
このようなシステムの学校単独での導入は困難です。また、児童・生徒は転校し、
先生は転勤します。学校ごとに異なるシステムでは、転校した児童・生徒について
ある学校で入力・処理した情報を、別の学校で再度入力しなければなりません。
先生がある学校で使い慣れた操作方法は、別の学校では通用しないことになります。
せっかくのシステム導入の効果が下がってしまいます。

 だから、文部科学省は「統合型校務支援システム」の都道府県、市町村単位での
導入を進めています。そうすれば、先生は転勤しても、同じ操作方法でシステムを
利用することができます。転校した児童・生徒の情報を簡単に引き継ぐことの
可能性が出てきます(実際には、システム以外の課題もあります)。
教育委員会が首長部局と連携して整備することも考えられます。首長部局から
児童・生徒の住民票に関するデータを流し込むことができると、名簿が簡単に
できるだけでなく、さまざまな効果が期待できます。

 「学校における」としないで「教育情報」セキュリティポリシーとしたことには、
このような思いが込められていると推察されます。

加藤先生

静岡県立浜松大平台高等学校 教頭
静岡県総合教育センター指導主事として、情報教育、授業におけるICT活用、
校務におけるICT活用、情報セキュリティ等に関する研修・研究を担当。
その後、静岡県教育委員会事務局教育政策課情報課推進室にて、
成績処理システムを始めとする校務におけるICT活用に関する事業を担当した。

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