2018.08.10
ISENオーストラリア教育現場視察報告(3)
オーストラリアでは、中学と高校は分かれておらず、中と高が一緒になった
中等学校となっています。
Merrimac State High School(クイーンズランド州立高校)では、
日本や中国などアジアからの留学生も受け入れており、卒業生の進路は、
大学進学、専門進学、就職がそれぞれ30%ほどで分かれています。
7年生(日本では中学1年生)からは、リーダーになる人材を育成する
リーダーシッププログラムを取り入れています。
3年前からSTEM教育を始め、現在はSTEAMとして実施しています。
また、特色の一つとして金工・木工作業をする施設・設備が充実しており、
7年生では建築関係の科目が必修科目となっています。
カビィハウスと小さな小屋を作り地域(バザー)で販売する、
裁縫でのぬいぐるみ作りやクッション作りでもICチップを入れて
光らせる工夫をするなど、ものづくりが授業の中に取り入れられて、
あらゆる場面でEngineeringやTechnologyが生かされています。
テクノロジーという科目の中でのみ技術を教えていましたが、
現在は、各教科のカリキュラムの中でテクノロジーを取り扱うように
カリキュラムが変化しているとのことです。
例えば、過去行われていたロケットを作るという授業は、
数学、科学的知識をもとに、いかに遠くまで飛ぶロケットを設計するか
といった、より発展的な思考を要求する授業に進化しています。
過去のテクノロジーのカリキュラムでは、テクノロジーに関する一般知識、
アニメーション、Webサイト作成を主に扱っていましたが、
現在のカリキュラムでは、ゲームアプリケーション、ソフトウェア、
ロボット開発に力を入れています。将来は、自動ロボットやAI、
データマイニングなどの授業を展開していく予定とのことでした。
国際競争に勝ち抜く力を持つ生徒を育てる授業を展開するための
教員研修も行われています。
Makerspaceが設置されており、生徒がさまざまなプロジェクトに
取り組んでいました。箱を持ち上げるロボット、ルービックキューブの
自動解法ロボット、ペットボトルをゴミ箱へ入れるとゲームができるマシンなど、
単なる学習の域を超えて、アイディアを具現化し課題を解決する能力が
培われていることが見て取れました。3Dプリンターで部品を作るなどした
最先端のものづくりから、廃材や不用品を利用したエコモデルまで幅広く、
また、異学年が同時に作業するなどさまざまな形態や考え方を
自然に体験できるspaceでした。
ISEN副委員長 井上
株式会社JMC
APPLIC(一般財団法人全国地域情報化推進協会) テクニカルアドバイザー。
校務情報化や情報モラルに精通し、文部科学省や総務省の委員会や委託事業にも参画している。