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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2018.11.22

スマホ(情報機器)禁止にしたら、大変なことになる?

 私は現在、教員を定年退職して奈良教育大学にて特任講師をしています。
本学の「全学ポートフォリオシステム」は、学生が学んだことを活用しながら
卒業後も自信を持って学び続けていくために、在学中に情報を集め、整理し、
仲間と共有し、自分の成長記録を練り上げるためのシステムです。
インターネット上で、課題を受け取り、レポートを提出し、学習履歴を
まとめていきます。私の学生時代には、思いもよらなかったシステムです。
ネットワーク情報機器がなかった昔を思い出してください。
レポートは締切日に大学の研究室BOXに投函しなければなりません。
「そんな深夜に怖くて行けませんでした」
という言い訳が効いたかもしれませんが、今や、大学生は自分のスマホやパソコン、
タブレットで瞬時に提出することができるのです。
 大学の先生方も、受講している100名以上の学生をより細やかに指導するための
道具として活用し、成果を上げています。ゼミの連絡をはじめ、ほとんどの連絡が
情報機器を使ったインフラを構築していますから、ゼミの面談では、助言や対話に
充分時間を充てることができます。
 加えて、本学の教室には実物投影機やパソコンなど、提示する機器が設置されて
いるので、先生や学生は、当たり前のように、これらの機器を使って講義や発表を
しています。しかし、小中高の学校現場はどうでしょうか。
このような環境を体験していない教員が今のところ多数を占めています。
学校現場に就職した多くの大学生が、「あるべきものがない!」と
カルチャーショックを受けると思うと、学校現場の機器導入の責任者であったことを
申し訳なく思います。(これは、次回にお話します。)

 さて、教育の情報化における学校の課題は、教員の多忙感
(実際に忙しいのですが、多忙を改善する優先順位が低いと私は考えます)で
環境整備が遅れてしまっていることです。
学校で、やってはいけない問題事象の多くが、これらのコミュニケーション機器で
起こっています。当然といえば当然です。今の子どもたちにとっては、
主となる情報伝達手段なのですから。そこで、簡単にできる対応として、
「スマホ利用禁止」というルールを作成し、問題が大きくなってから
慌てることになりがちです。しかも、多くの教員は気づき始めています。
今、自分がスマホや情報機器を持ってコミュニケーションの大半を行っていること、
そして、これらの機器を手放したらとても不便なことが起きることも。

 では、どうすればいいのでしょうか。大切なことは、禁止するよりも有効に使う
方法を教えることです。私たちは、「人の真似をするのはいけない」と
教えられますが、多忙を理由に課題を先延ばしにして大変なことになる前に、
まず、「人の真似をする」ことです。先進事例やうまくいっている戦略を
参考にすることが効果的です。二つ目は、専門性を持つところに相談をして、
環境整備や情報機器活用の指導体制を構築することです。信頼できる方々に
相談することが大事だと考えます。

中村先生

略歴
昭和33年3月18日生まれ 最終学齢 鳴門教育大学大学院 教育方法学
昭和57年4月  公立学校教員に採用後、三重県教育委員会事務局勤務、
        三重大学教育学部附属小学校教頭、大紀町立錦小学校校長、
        南伊勢町立南島東小学校長を経て    
平成30年3月  三重県度会郡南伊勢町立南勢小学校長を経て定年退職
平成30年4月  一般社団法人未来の大人応援プロジェクト事業部長就任、
        奈良教育大学特任講師
資格等:普通自動車免許、小学校教員専修免許、中学校教員専修免許、
    高等学校学校教員専修免許、教育情報化コーディネータ、
    文部科学大臣委託ICT活用教育アドアバイザー、ICTマイスター
専門:教育一般、ICT教育関連、
   文部科学省生涯教育課よりICT活用教育アドバイザー、防災教育

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