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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2019.01.25

マーフィーの法則 (1)

35年にわたり学校のコンピューター整備やプログラムの開発、
情報モラルなどの教材開発を手がけてきた中で、
マーフィーの法則の考え方が役立つ場面が無数にあった。

マーフィーの法則というのは「物事が失敗するときに良い結果と
悪い結果があるとしたら、いつも悪い結果のほうになる」というものである。
いろいろなバリエーションがある。

・パンが落ちるときには、バターを塗った面が下になるように落ちる。
・落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、
 カーペットの値段に比例する。
・起こる可能性のあることはいつか実際に起こる。
・何事であれ失敗する可能性があるものは、いずれ失敗する。
・満員電車では、自分の立っている前の席だけが空かない。
・スーパーでレジを待つとき、自分の並んだ列がいつも遅い。
・試験の直前に覚えた部分は試験に出ない。
・解答欄の間違いに気付くのは、問題を全部回答した後。
・傘を置き忘れる確率は、傘の値段による。
・自分が出力しようとすると、プリンターは故障する。

さまざまな失敗から生まれた経験則を
ユーモラスに表現したマーフィーの法則は、もともとアメリカの話である。
1949年に空軍のエンジニアであったマーフィー大尉が、
実験プロジェクトでのトラブルの原因を調査したところ、
誰かが機器の配線間違いをしたことが原因であることを突き止め、
"If there is any way to do it wrong, he will"(いくつかの方法の中で
何か残念な結果を生じさせる方法があるとき、人はそれを選ぶ)
と述べた、ということが起源といわれる。

この話はやがて軍部から、技術雑誌や一般雑誌、新聞にも広まり、
1977年に書籍が出版されて全米ベストセラーになり広まった。
日本で広まったのは1980年頃で1990年代にブームとなった。

コンピューター技術者にとっては、部品の故障、配線のミス、
プログラムのバグ(不具合)など、意図したわけではないのに失敗して
落ち込んだ経験を誰もが持っているものである。
数多くの失敗を経験するうちに、失敗やミスはあって当然と考えるようになり、
ミスを防ぐために頻繁に手順を見直したり、プログラムコードの確認を
入念に行ったりする必要があるのだ、という悟りを得ることになる。

マーフィーの法則は、そのような失敗を前提として物事を考えるという考え方を
支援してくれるもので、失敗を予防するフールプルーフや、
万一失敗した時でも被害を最小限にするためのフェイルセーフや
バックアップという対策に役立てることができる。

高橋先生

千葉学芸高等学校理事長・校長・理学博士。
日本教育工学協会評議員、全国高等学校長協会理事。
1995年100校プロジェクト参加を契機に、
ネチケットをはじめとする情報モラル教育の研究に取り組む。
日本教育情報化振興会「ネット社会の歩き方」検討委員、
文部科学省 情報モラル教育検討委員、文化庁 著作権教育検討委員、
総務省 情報リテラシー指標検討委員、JST社会技術研究開発センター
「犯罪からの子どもの安全」領域アドバイザーなどを歴任。

著書:教師と学校のインターネット(オデッセウス出版)、
   先生のための実践インターネット講座(NHK出版)他

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