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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2019.09.13

わたしの学びのパートナー:文房具的な情報端末

●文房具的な情報端末

先日、岐阜県内のスーパーハイスクール(※1)の高校生が
岐阜大学に集って、他の高校生と協力して地域の課題を知り、
その解決策を創出する機会としての
SSS (Super High-School Session)が開催された。
高校生は、個人所有のノートPCやタブレット、
スマートフォンを駆使して提案を完成させ、
見事なプレゼンテーションを披露していた。
そこで、何人かの高校生に、
「どうやってアンケートを実施し、プレゼンを作成してきたの?」
と尋ねると、「アンケートはGoogle Formを使って作成し、
QRコードを提示して回答してもらいました。その結果は、
表計算ソフトで整理して分析グラフを作成しています。
また、ビデオも作成したので、分担したビデオクリップや
写真をOne Driveで共有して、iMovieで編集して
プレゼンのクリップに貼り付けました。
グループでの連絡はLINEを使っています」と教えてくれた。

まだ限られているかもしれないが、夢や目的に向かって
エンパワーメントしてくれる変革のツールとして、
情報テクノロジーを駆使し始めている高校生は確実に存在している。

限定された場所や時間で、許可された学習者だけが
情報テクノロジーを活用するという姿は、
まもなく過去のものとなるだろう。
そうして、情報へのアクセス手段は手元にあり、
文房具と同じように当たり前のものとなったとき、
教室での学びの景色は一変するのではないだろうか。

●学びの景色を変革

文房具的な情報端末を活用できれば、
必ず学びの景色が一変するわけではない。
伝統的な教授主義の授業はそのままに、
教科書やノートが電子化されただけの場合もあるだろう。
しかし、それでは「よりよい社会と幸福な人生の創り手」となる力が
育まれるとは言い難い。多様な社会課題を解決しながら
持続的に発展する社会の担い手を育てるためには、
「探究」のある学びへと変革していかなければならない。

佐藤学は、「学習指導要領における『21世紀型学校教育』への
対応を見ても、他の先進諸国と比較すると約15年のタイムラグを
伴って進行している。(中略)これら一連の『ガラパゴス的状況』は、
なぜ生じたのか。そして、この現実をどう克服すればいいのか、
その政策的、実践的、理論的な解決は喫緊の課題である」と述べて、
プロジェクト型のカリキュラムへの転換が必要としている。(※2)
SSSの取り組みは、延べ4日間にわたるプロジェクトであり、
探究活動において情報テクノロジーが必須であり、
学びの質をいかに高めることができるかを実証するものであった。

情報テクノロジーは、教師にとっても夢や目的に向かって
エンパワーメントしてくれる変革のツールとなるが、
その変革の姿を見定めることは肝要である。
SSSに参加した高校生のように、すでに私たちの周りには、
学びの景色を変革し始めている子どもたちが現れているようである。

※1 スーパーハイスクール
地域共創フラッグシップハイスクール(FRH)
県指定スーパーグローバルハイスクール(SGH)
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
理数教育フラッグシップハイスクール(FSH)
スーパープロフェッショナルハイスクール(SPH)
地域との協働による高等学校教育改革推進事業(プロフェッショナル型)の
指定を受けた岐阜県内高等学校

※2 佐藤学(2015)『21世紀型の学校カリキュラムの構造 カリキュラム・イノベーション』
東京大学教育学部カリキュラム・イノベーション研究会編、東京大学出版会

加藤直樹先生

日本教育情報学会理事。
岐阜大学教育学部附属学習協創開発研究センター教授。
教育工学、情報教育を専門とし、
テクノロジーを活用した教育方法やカリキュラム、
学習環境の開発に関する研究を進めている。
近年はタブレットPCの教育利用に関心をもち、
知識創発型の学びを研究テーマとしている。

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