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学校ICT 専門家・研究者のコラム

2020.03.13

遠隔教育についての追想(1)

私が倉敷市の職員として勤め始めた頃は、
コンピューターといえば汎用機と言われていたもので、
大量一括処理を行って事務の効率化を目指していた時代でした。
職員が手書きで作成するより、数百倍速くて正確でした。
この時代の苦労を知っている職員は、
もう現場には居なくなってしまいました。

同様に通信環境も大きく変化してきました。
特に、インターネットです。
インターネットとの出会いはIWE'96
(インターネット1996ワールドエキスポジション)へ
市がパビリオンを出展する前、
私が情報管理担当に所属していた頃になります。
IWE'96ではコンテンツの重要性、
コンセプトの明確さと先進性の必要性を痛切に感じました。
この時の経験が、後の事業で大いに役立ちました
(これについては別の機会にお話ししたいと思います)。

2002年には、総務省の補助事業である
地域イントラネット基盤施設整備事業を利用して、
市内全ての公共施設間が自設の
光ファイバーケーブルネットワーク網で接続されました。
このことで、市は通信事業者の回線利用とは異なり、
自由に使える画期的な高速ネットワーク網を手に入れることになりました。
通信回線速度は、2,400bpsから100Mbpsへと飛躍的に高速化されました。
この事業が縁で、学校園ネットワークシステムの再構築と
校内LAN整備を担当することになり、
その後、退職するまで市長部局と教育委員会を併任することになりました。

その中で最も印象に残っているのは、
2003年に全国の4カ所をインターネットで中継して
大学のオンライン授業が行われた時のことです。
授業が終わり受講していた生徒さんに感想を伺うと、
「インターネットを研究してきた有名な先生のお話を聞かせていただいて、
大変感動しました。日本のどこに居ても、いや、世界のどこに居ても
距離に関係なく生の授業が双方向でできる。こうした授業では、
学生の私でも第一人者の先生と質疑応答が簡単にできるなんて
すごいことだと感じました。
インターネットってまるで今日のような嵐の後に、
天空に輝く七色の虹の中をデジタルのタイヤを履いた四輪駆動車が
スポーツカーのようなものすごいスピードで駆けて、
私たちを未来へ運んでいってくれるような、
そんなイメージを抱きました。その可能性を信じて、
これから頑張って勉強していきたいと決意しました」と
話していただいたと記憶しています。
なるほど上手な表現だと感心したのと同時に、この生徒さんに共感しました。
少なくとも、その後の多種多様な取り組みを行っていく
起点となった出来事と認識しています。

それからもう17年が経過しようとしています。
この時の感想を聞かせていただいた生徒さんは、
今では情報通信のお仕事に就かれています。
私もこの17年間ずっと、生徒さんの抱いたイメージと共に仕事をしてきました。
遠隔教育については、今ではもう当たり前のことのようになってきましたし、
民間の会社がこうした遠隔授業をコマーシャルに使う時代になってきました。
校内LANも、GIGAスクール構想で10Gbps対応への道を歩み始めました。

これから先も、インターネットの未来はさらにスピードアップし、
便利で明るい未来が作られていくことに寄与していくものと期待しています。  

門田先生

元倉敷市職員。事務職、入庁後長年にわたり情報システムの研究、
開発、構築、運用、保守を担当。
2002年に教育委員会で、地域イントラネットと
学校園ネットワークシステム構築に参画した後、
2006年から市長部局(情報政策担当)と教育委員会を併任(以後退職まで)。
行政と教育の情報化に携わる。

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