2020.04.10
遠隔教育についての追想(3)情報化について考える
今から30年以上前になりますが、
地図情報システムが開発されていた頃、
既存や今後開発が予測される業務システム間での
情報連携を目的として、各業務が保有する情報を
業務情報層と定義して情報の利活用を考えていました。
業務を細分化すれば、業務情報層が増加します。
地図情報層を中心に各業務情報層が上下に積み重なって
多層構造を形成しているモデルを想定していました。
視点を置く業務層に依存して他の業務層の見え方が変わり、
見る者の熟練度によっても見え方が異なると考えたので、
当時注目されていたエキスパートシステムを
業務システムに取り込めないかと研究していました。
ちょうど第五世代コンピューターが話題になっていた頃でした。
その後も情報の多層構造と業務情報の構造分析と
情報の相互作用や利活用の方法を考え続けてきました。
教育の情報化を考え始めた頃、「ビジョンが無いこと」について
第一人者の先生からご指導をいただいたことがあります。
IWE'96(3月13日配信コラム参照)でコンテンツの重要性、
コンセプトの明確さと先進性の必要性を痛切に感じたことや、
遠隔教育の事例を思い出し、
「利用者にわかりやすいビジョンが必要なんだ」と
考えるようになりました。
サービスを提供する側がどんなに良い環境を用意しても、
利用者にわかりやすいビジョンがあって、
どういう目的で何を成すのかのコンセプトが明確に示せないと、
利用者に上手く環境を利用してもらえないことになります。
そのためには、環境を用意する側と利用者側の
相互理解が欠かせないと思うようになりました。
つまり双方の人の和が基底になければならないと思います。
その事例として、電子タグを活用した児童見守りシステムがあります。
児童の行動管理ではなく、自発的に意思表示をする手段のための
道具としてパッシブ型電子タグを利用しました。
その意思表示に対する結果として、地域コミュニティに参加する人々が、
児童の安心安全を見守る行動をとる仕組みとして取り組みました。
何をテーマにして、どうすることが利用者のためになるのかを考えて、
周囲の協力と相互理解を得て取り組むことの大切さを実感したものでした。
情報化について考える上で、
「天時不如地利 地利不如人和」を思う時があります。
今後も人の和を大切にして、情報化について考えていきたいと思っています。
門田先生
元倉敷市職員。事務職、入庁後長年にわたり情報システムの研究、
開発、構築、運用、保守を担当。
2002年に教育委員会で、地域イントラネットと
学校園ネットワークシステム構築に参画した後、
2006年から市長部局(情報政策担当)と教育委員会を併任(以後退職まで)。
行政と教育の情報化に携わる。