2022.04.08
学校を開く ~好き駆動型オープンイノベーションによる学校の変革
現在、東京学芸大学教育インキュベーションセンターでは、
附属竹早学校区の幼稚園、小学校、中学校を中心に
いくつかの教育委員会と協働しながら
「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」を進めている。
「オープンイノベーション」と「好き駆動型」が本プロジェクトの特徴である。
2022年4月現在で、大学、附属学校、教育委員会だけでなく、
企業等45法人が参加している。
フリーランスの方や学生等の個人参加もある。
産官民が外部から学校を変えるのでなく、
産官学民の参加者が一つのチームをつくり、
未来の学校を「みんなで」創っていこうとしている。
本プロジェクトに賛同してくださる方であれば、
会費を払う等の条件はなく参加していただける。
理想像をつくり、そこにたどり着くための計画を立て、
その計画を遂行していくというプロセスではなく、
参加者の問題意識(「好き」)を起点に実際に問題を解決しながら、
全体として未来の学校を創っていこうとしている。
予算は立てず、必要になったときに必要なリソースを出し合う、
外部から獲得するということを原則としている。
現在、10のチームにわかれ、それぞれの問題意識(「好き」)を起点に
研究開発を進めている。
本プロジェクトは10のチームの研究開発により
未来の学校のモデルを提案することを一つの成果として目指している。
ほかにも、学校を開き、現場の問題意識(「好き」)を起点に学校を変革していく、
そのプロセス自体をモデル化するということをもう一つの成果目標としている。
有識者等の一部の人がクローズした組織の中で理想像を描き、モデル化し、
それを全体に広げていくというのではなく、
組織を開くことで参加者の問題意識(「好き」)が有機的に結びつき、
内部から新しい価値を生み出していく、
学校を「共創空間」に変えることで学校が主体的に変化し、
自ら新しい価値を生み出していく。
そのようなプロセスをモデル化したいと考えている。
本プロジェクトの「TEAM 先生たちがもっと輝く学校に。」では
プロジェクトに参加している人の働く場として
学校内にコワーキングスペースを設置し、
学校教員、児童生徒と常態的に場と時間を共有できるようにしている。
その時間と場で信頼関係が構築され、
時間が設定された会議ではない、議題も時間も気にしない無駄話が交わり、
新たな問題意識(「好き」)が生み出されていくと考えている。
株式会社 JMC様には
「TEAM GIGAスクール時代の教育データの活用法を考えよう。」にて
学習のデジタルデータの収集と分析という「好き」に取り組んでもらっている。
数値化された学習データでなく、対話や記述等の言語を分析し、
教育・学習に活用していく方法を研究開発していただいている。
大変難しいテーマではあるが、現代的な待ったなしの喫緊の課題であり、
新たな価値が共創されていくこと期待している。
「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」を進めることで、
学校を開くことにより生み出される好き駆動型オープンイノベーションにより、
それぞれの地域の学校がそれぞれの価値を生み出しつつ、変革していく、
そのプロセスのモデルを引き続き提案していきたい。
金子先生
東京学芸大学教育インキュベーションセンター長/教授。
専門分野は社会心理学、教育支援協働学。
一般社団法人東京学芸大Explayground推進機構事務局長、
一般社団法人STEAM Japan理事、一般社団法人教育支援人材認証協会理事、
日本教育支援協働学会理事を兼任。
企業と大学、学校をつなぐ協働の推進、
新しい「学びの場」の研究開発、普及に取り組んでいる。