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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2022.11.18

児童生徒の情報活用能力の育成に向けて 1人1台環境下における認知の特性に注目した授業作りの要点(後編②)

後編第2回として、中学校3年の数学科の授業における、
学力の要素に応じたタブレットPCを活用した授業について紹介する。

(1)授業の基本的な流れ
授業の導入においては、本時の目標を確認し、
認知の特性が合うグループに座席を移動させる。
次に、教員が事前に作成した Google サイト やスライドを参考に、
タブレットPCを活用して個別にワークシートに回答を作成し、
最後には目標に対する到達度を生徒自身が確認できるよう、
Google フォームを用いた簡易的なテストを行うこととした。
テスト後は、オンラインドリルアプリや問題集で個別の課題に取り組み、
さらに理解を深められるよう配慮した。

(2)授業前の準備
生徒自身が個別に学習を進められるよう、解き方を説明するスライドを作成した。
スライドは、後編①で紹介した
「分かりやすさの特性(認知の特性)」に基づき2種類作成した。
1つは、計算の全体像を先に見てから細かく一つひとつを確認できるもの、
もう1つは、計算の手順を一から順番に示すものとした。
生徒自身が自分の特性に合わせて、スライドを選択できるようグループを構成した。
また、確認問題は4〜5個の選択問題とし、1問だけ難易度の高い問題を加えることで、
グループで主体的な活動を促すことができるようにした。

(3)タブレットPC等のICTを活用する利点
文字の計算や方程式の解き方など数学的な処理を行う場面では、
個々人で差が出る可能性を考慮し、生徒が自分のペースで学習を行えるよう、
先述のスライドを見て進めることを可能にした。
また、グループ活動とすることで、
仲間に解き方のアドバイスなどを聞くことができるとともに、
教員は個別に支援を必要としている生徒に寄り添えることが可能となった。
さらに、得意とする生徒については、いち早く確認問題を終え、
オンラインドリルアプリを活用し、理解度に応じた難易度の高い問題に取り組むなど、
学習効果を高めることにつながっている。

(4)実践を行って
この研究を進めていく上で、認知の特性に注目し特性を大きく2つに分け、
授業実践等を行ってきたが、実際には児童生徒が持つ特性は様々であると考える。
また、課題に取り組む児童生徒にアプローチする手立ては児童生徒の数だけあり、
その中から、それぞれのタイミングで必要とする情報を得られることが、
1人1台タブレットPCを持つ環境での理想の授業ではないかと考えている。
最後に、この研究では評価を行うことで、
学習のスパイラルを維持することができるとした。
評価については、今後の実践を通してさらに追及していきたい。

坂田先生

坂田茂太

相模原市谷口中学校 教諭
平成22年度から相模原市立の中学校数学科教諭として12年間、市内2校での勤務を経験した。
令和2年度から教育研究員として「一人一台端末環境における情報活用能力の育成」の研究を進める。

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