2023.02.10
GIGAで変わってきた学校の姿 〜校務改善から考えるICT活用〜
昨年、「教育・学びの未来を創造する教育長・校長プラットフォーム
(https://www.schoolplatform.org/)神奈川本部」で、
GIGA前後で教務主任として学校現場をどのように変革したのかを
お話しさせていただきました。
今回はその内容を簡単にまとめ、皆さまにお伝えできればと思います。
【事前アンケートから】
「やらなければいけないことが多すぎる」
「これまでの学び方の限界を感じている」
「前年度踏襲主義が強すぎる」
参加者の事前アンケートからは、GIGA端末の導入に伴い、
学校が新しいものを受け入れていく中での混乱や困り感が読み取れました。
こちらのコラムを読んでいるような方は当然ICT活用に積極的で
堪能な方々であると思いますが、教務主任という立場では、
上記のような声に耳を傾けながらどのように学校全体にスムーズに
ICT活用の道筋を立てていくのかが非常に大切になります。
そこで、本校ではコロナ禍の中での業務改善を通して
ICT活用を自然な形で校務に取り組み、職員全体のICT活用スキルを
校務でのOJTのようなイメージで高めていくことにしました。
【校務のICT化の具体例】
①職員会議はオンラインで行う
いつでもオンライン授業を行えるためには、職員がオンラインでの
やり取りに慣れていた方が良いです。職員会議や打ち合わせなど、
全職員が参加する会議は各自のGIGA端末を使用し、
オンラインで参加する方式に変更しました。
自分の教室から参加する職員もいたり、学年担任で集まって初任者に
提案内容を説明しながら参加する職員もいたりと、
職員会議の在り方も変わっていきました。
②資料はクラウドで共有する
上記の会議スタイルへの変更に伴い、職員会議などの資料は
Google 共有ドライブに保存することにしました。
資料をGIGA端末から閲覧できることで、
これまで職員室から持ち出す際には印刷しなくてはいけなかったもの
(例えば、行事予定や避難訓練用資料など)もGIGA端末で
直接閲覧できるようになりました。
逆に、活用が進んでいくに伴い「GIGA端末を持ち歩かないと仕事にならない」という
状況が生まれ、職員のICTスキルの獲得・向上へとつながっていきました。
③行事予定は常に最新版を共有
資料をクラウドで共有するのに伴い、職員から非常に高評価を
いただくようになったのが先にも述べた行事予定の共有です。
行事予定については Google スプレッドシートで作成し、
そのまま共有しているために行事予定の変更が即座に職員に共有され、
予定の取り違えが格段に減りました。従来のように各自の手帳に予定を書き写したり、
印刷して持ち歩いたりするとその都度書き直し、更新する手間も発生してしまいます。
クラウドの活用は職員の業務負担の軽減にもつながったのではないでしょうか。
【学校行事のICT化の具体例】
①学校説明会は YouTube 配信で行う
学校説明会は YouTube 配信のみの開催と変更しました。
今年度の実績数としては児童数約550名に対し、視聴数が600回を超えています。
対面で行うよりも、より多くの家庭に学校の方針を
お伝えすることができるようになりました。
②朝会は校長室からの配信で各教室に
横浜市では定期的に全校朝会を行う習慣があります。
本校では体育館や校庭に全校児童が集ることを取りやめ、
校長室からの配信に変更しました。この変更によって朝の支度の時間に余裕が生まれ、
児童も落ち着いて自分の席で話を聞くことができるようになりました。
家庭の事情などで登校が遅れがちな児童や、朝の支度に時間が必要な
児童などに対してはとりわけ有効な支援の一つの形だと考えられます。
【最後に】
校務でICTを活用することは、変容を受け入れる学校風土を養うことにもつながります。
そして、活用の中で教職員の中にも「GIGA端末って便利だな」という意識が生まれ、
心理的なハードルが下がることで授業での活用にもつながりました。
学校教職員は基本的にはクリエイティブでやる気のある方が多いです。
その気持ちにしっかりと応えながら、学校の変容を目指していくことが
大切なのではないでしょうか。
皆さまの学校での取り組みを心から応援しています。
東森先生
横浜市立仏向小学校 主幹教諭
NHK番組委員「ストレッチマン・ゴールド」「キキとカンリ」
全国放送教育研究会連盟事務局 全国ブロック担当部長
横浜市小学校情報教育研究会 総務部長
横浜市小学校教育研究会GIGAスクール推進プロジェクト委員