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研究を重ねた専門家が指南 学校ICT・セキュリティコラム

学校ICT 専門家・研究者のコラム

2023.08.04

ICT活用を「当たり前」に感じるには 〜本格運用3年目をうけて〜(前編)

今年度は、学習ネットワークの本格運用3年目です。
令和3年度の本格運用1年目と比べて、ICTが学校でも身近になり、
授業中にICTを活用する事例が、全国的に増えていると思います。
本校でも、小田原市から出されている「ICTを活用した教育の推進計画」を基に、
ICTを活用した教育活動を進めています。
今年度は「ICT活用の中心的教員」が個別最適な学びを具体化した授業ができ、
全職員が共有することを目標にしています。

ただ、授業でのICT活用に比べ、家庭とのつながりや、業務改善といった、
「授業外」においてのICT活用は、まだまだ、改善の余地があるように思います。
特に、先生方のICTに対する熱量の差によって、その差は顕著です。
教務の立場から申し上げますと、学校内での先生方のICT活用に対する温度差が、
開けば開くほど、学校として進んでICTに取り組むことが難しくなります。
なぜなら、今までに前例が少ないICTを使った取り組みに関しては、
学校が「一枚岩」で、同じ方向に教師が向いていないと、難しいからです。

そこで、本校では校務分掌に「ICT活用推進チーム」という組織を、
学習ネットワークの本格運用1年目の令和3年度から立ち上げました。
そして文字通り、腕に覚えがあるICTに長けた職員をチームに配置しました。
日々の教育活動でICTを使うことを、チームメンバーを中心に行うことは
もちろんですが、ICTを活用することが、あまり得意ではない、
どちらかというと苦手意識がある職員に対しても、
チームメンバーが中心となって、校内でこまめなケアが
できるようにするためのものです。
また、「ICT活用推進チーム」は、校務軽減を意識したICT活用も行っています。
これらの取り組みは、現在も継続中で、今年で3年目です。
今では、元チームメンバーも含めて、多数の職員が、
ICT活用で何か困った事があったら、教え合う体制ができています。
今年度も新しく仲間になった職員に、富水小のシステムを教え合っています。

このように富水小学校では、令和3年度から継続してICT活用に力を入れています。
今回は『当たり前にできるようになる(もしくは活用することができる)
「授業外」のICT活用(学校運営)』について、
本校が3年前から取り組んでいる実例を、一部交えながら書かせていただきます。
まず、ICTを活用した家庭との連携についてです。
本校は児童数が500人強、クラス数も支援級を含め26クラスの大規模校で、
登校時の欠席・遅刻などの連絡は文字通り猫の手を借りたいくらいの忙しさでした。
そこで本校では、一昨年度は「ICT活用推進チーム」が作成した
「Google フォームを使った出欠席入力シート」を使用しました。
昨年度からは、小田原市が活用している「さくら連絡網」という
アプリを使って管理しています。
どちらも、保護者が、欠席や遅刻その他連絡などを入力することで、
学校内すべての職員が、自分の端末を使って一括で管理ができるものです。
本校では、これだけではなく、さらに職員室に80インチの大型モニターを設置し、
リアルタイムで出欠席のデータを表示しています。
こうすることで、職員室内でも職員がすぐに情報を共有できるようになっています。
職員は朝、モニターで自分の担当クラスの児童をチェックし、場合によっては、
自分の端末で保護者と連絡を取ることができます。
イメージとしては、駅の電光掲示板で発車時刻を見て、
自分の端末で乗車したい電車を確認するような感じです。
これまでは、出勤してすぐの慌ただしい時間に、保護者からの電話連絡があると、
校内放送や内線電話で担任を職員室まで呼び、いちいち連絡を取るなどしたため、
伝達漏れのミスなど、職員の多忙感につながっていました。
しかし、大型モニターと個別の端末を組み合わせることで、
朝の電話での保護者対応はほとんどなくなり、
児童の登校前に教室にいることができ、備えることができるようになりました。
また、経費削減という意味でもペーパレスは外せません。
本校では、保護者向けのお便り、例えば給食便りや下校時刻などは、
「さくら連絡網」のお知らせ機能を使って、
お便りをPDFデータにして配布するようにしています。
データを送付することで、保護者は自分の情報端末から確認することができます。
保護者からも「下校時刻がスマートフォンでわかっていい。」など
好意的な声を頂いています。

時村先生

時村 健太
小田原市立富水小学校 総括教諭 教務主任
小田原・足柄下地区小学校教育研究会役員

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