2024.11.14
学習の基盤となる情報活用能力の育成
1.小学校学習指導要領における情報活用能力の位置付け
小学校学習指導要領総則において、情報活用能力は、
学習の基盤となる資質・能力の一つとして明確に位置付けられています。
現代社会は、情報が社会生活のあらゆる場面で重要な役割を果たす情報社会であり、
児童が社会に参画し、生涯にわたって学び続けるためには、
情報活用能力の育成が不可欠であるとされています。
小学校学習指導要領では、情報活用能力(情報モラルを含む)は、
言語能力、問題発見・解決能力等と並んで、
教科等横断的な視点に立った資質・能力として育成することが求められています。
これは、情報活用能力が特定の教科に限らず、
あらゆる学習活動において重要な役割を果たすことを示しています。
情報活用能力とは、具体的には、さまざまな情報を活用して課題を解決したり、
新たな価値を創造したりする能力を指します。その育成においては、
児童が情報社会において必要な情報を見出し、その情報を適切に選択し、
整理し、活用していく能力を育むことが目標とされています。
さらに、情報モラルについては、情報社会において、
他者との良好な関係を築き、責任ある行動をとるために
必要な知識や態度を育成することも重要視されています。
情報モラルは、情報活用能力と一体的に育成されるべきものとして、
情報社会に参画する上で不可欠な要素として位置付けられています。
2.各教科における情報活用能力を育むための学習活動の例
小学校学習指導要領では、総則だけでなく、
各教科等の学習指導要領においても、
情報活用能力を育成できる単元や場面が示されています。
例えば、社会科では、地図帳や地球儀、統計などの各種の基礎的資料を用いて、
情報を適切に調べまとめる技能を育成することが目標とされています。
これは、社会的事象を理解するために必要な情報を収集し、
分析し、表現する能力を育むことを通して、
情報活用能力を育成することを意図しています。
また、理科では、児童が観察、実験を通して得た結果を、
写真や動画などを用いて記録し、整理し、考察する活動を通して、
情報活用能力を育成することができます。
これは、科学的な探究活動において、
情報を効果的に活用する能力を育むことを目的としています。
さらに、総合的な学習の時間では、
探究的な学習活動の中で、情報機器を活用した情報の収集や整理・分析、
まとめ表現の段階においては発表を通して、
情報活用能力を育成することができます。
これは、児童が自ら課題を設定し、解決していく過程において、
情報活用能力を総合的に活用する力を育むことを目指しています。
このように、各教科等の学習を通して、情報活用能力を育成することは、
児童が情報社会に適応し、主体的に生きていくために
必要な力を育むことにつながります。
3.おわりに
このように見ていくと、すでに実践されていることも
多いのではないでしょうか。こうした各教科等に埋め込まれている情報活用能力を、
より意識して指導していくことが望まれます。上記に示したものは一例であり、
他の教科単元等でも数多く位置付けることが可能です。
一度、「文部科学省 情報活用能力」などとWEBで検索してみてはいかがでしょうか。
佐藤先生
佐藤 和紀
信州大学教育学部・准教授
東北大学大学院情報科学研究科・修了、博士(情報科学)。
東京都公立小学校・教諭等を経て現職。独立行政法人 教職員支援機構・フェロー。
文部科学省 児童生徒の情報活用能力の把握に関する調査研究・企画推進委員、
同GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議・委員等を歴任。